鵜澤昌和

鵜澤 昌和

日本の経営学者として、教育、研究、そして関連分野の社会基盤整備に多大な貢献をしたのが、鵜澤 昌和（うざわ まさかず、1918年 - 2019年）です。経営情報システム、コンピューター応用、オフィスオートメーションといった、当時としては最先端の情報化分野を専門とし、青山学院大学名誉教授の称号を持ちました。

鵜澤氏は、教育機関のリーダーとして青山学院大学、そして東京家政学院大学の学長を歴任。また、専門分野における社会的な活動にも力を入れ、日本ファシリティマネジメント推進協会や日本セキュリティ・マネジメント学会といった、情報化時代の経営に不可欠な領域の専門家団体を設立し、長年にわたり会長を務めました。これらの功績に対し、国からは藍綬褒章、勲三等旭日中綬章が授与されています。

生い立ちと初期キャリア

1918年（大正7年）11月24日、東京に生まれた鵜澤昌和氏は、旧制明治中学校在学中に、同校校長であった父、鵜澤總明（明治大学総長）の影響を受け、富士見町教会で洗礼を受けました。1936年に明治中学校を卒業後、旧制東京商科大学（現在の一橋大学）予科に進学し、増地庸治郎ゼミで学び、1941年に繰り上げ卒業しました。

卒業後、大倉商事を経て、1943年には大日本帝国海軍主計大尉として勤務。終戦後、ブリヂストンタイヤを経て、教育界へと転じます。

教育・研究者として

1948年、青山学院大学経営学部教授に就任し、日本の大学ではまだ珍しかった電子計算機応用の教育・研究を開始しました。経営情報システム、オフィスオートメーションといった情報化分野における専門家として、先見的な研究を進めます。

大学運営にも深く関わり、1983年から1987年まで第10代青山学院大学学長を務めました。その後、青山学院大学名誉教授の称号を受け、1989年には東京家政学院大学学長に就任するなど、長きにわたり高等教育に貢献しました。

専門分野の社会基盤整備

鵜澤氏は、専門分野の発展を社会全体で推進することにも尽力しました。1986年には、日本セキュリティ・マネジメント学会の設立に関わり、初代会長に就任。また、1988年には日本ファシリティマネジメント協会（現在の日本ファシリティマネジメント推進協会）を設立し、初代会長を務めるなど、情報化時代の経営を支える新たな分野の確立に指導的な役割を果たしました。1996年にも再び同協会の会長を務めています。

これらの活動に加え、中央新光監査法人顧問や財団法人ソフトウェア情報センターの選定委員会委員長なども務め、産学連携や産業振興にも貢献しました。

栄誉と晩年

長年の功績が高く評価され、1986年に藍綬褒章を、2003年に勲三等旭日中綬章を受章しました。

2019年2月4日に100歳で逝去。その生涯を通じて、日本の情報化社会の進展と、それが経営学に与える影響を見つめ、教育、研究、社会活動の多方面から貢献を行いました。墓所は青山霊園です。

鵜澤氏はまた、精力的な著作活動でも知られ、『電子計算機入門』、『コンピューター概論』といった初期の情報化に関する入門書や、『身辺整理術』のような実用的な著作を多数執筆。専門書としては『コンピューター・犯罪とエラー』などを通じて、情報社会の課題についても論じました。さらに、海外の先進的な専門書を多数翻訳・監訳し、日本の関連分野の研究や実務の発展に不可欠な知的基盤を提供しました。

その生涯にわたり、鵜澤昌和氏は日本の情報化の波と歩みを共にし、教育者、研究者、社会活動家として多岐にわたる重要な足跡を残しました。

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