鶏伝染性喉頭気管炎

鶏伝染性喉頭気管炎について

鶏伝染性喉頭気管炎（にわとりでんせんせいこうとうきかんえん、英: Infectious Laryngotracheitis）は、伝染性喉頭気管炎ウイルスによって引き起こされる、主にニワトリに影響を与える感染症です。このウイルスはヘルペスウイルス科のアルファヘルペスウイルス亜科に属するDNAウイルスとして知られ、人間には感染しないため、家畜の健康を脅かす主要な問題とされています。

感染経路と症状

鶏伝染性喉頭気管炎の感染は主に接触感染や飛沫感染によって広がります。感染したニワトリは様々な呼吸器の症状を示し、咳、喘鳴、呼吸困難といった呼吸器系の問題が現れます。さらに、血痰を伴うことがあり、場合によっては眼に症状が現れることもあります。特に、喉頭や気管などの呼吸器系の組織、そして眼結膜においては、粘膜上皮細胞に合胞体形成や核内封入体が観察されることが特徴的です。

診断方法

この病気を診断するためには、いくつかの検査方法があります。中和試験や寒天ゲル内沈降反応、蛍光抗体法、ELISA（酵素免疫測定法）などを使用して、感染の有無を確認します。また、伝染性喉頭気管炎ウイルスを発育鶏卵の漿尿膜上に接種すると、ポックと呼ばれる病変が形成されることがわかっています。

予防策

現在、治療法は存在しませんが、予防には生ワクチンが使用されます。ただし、鶏伝染性喉頭気管炎の生ワクチンとニューカッスル病の生ワクチンは干渉現象が認められているため、これらを一緒に使用することは推奨されません。このため、予防接種の際には注意が必要で、他の病気であるニューカッスル病、伝染性気管支炎、粘膜型鶏痘、鶏マイコプラズマ症、伝染性コリーザとの鑑別も重要です。

日本における法的位置づけ

日本では、家畜伝染病予防法に基づいて、鶏伝染性喉頭気管炎は届出伝染病として指定されています。そのため、感染が確認された場合には、迅速に対応が求められます。さらに、日本獣医学会の意見を反映して、法令上の名称が「伝染性喉頭気管炎」から「鶏伝染性喉頭気管炎」へと変更されたことも注目されています。

参考文献および関連情報

この感染症についての詳細な情報は、「清水悠紀臣ほか『動物の感染症』近代出版 2002年」にも記されています。また、動物衛生研究所や家畜疾病総合情報システムのウェブサイトでも、家畜の監視伝染病としての鶏伝染性喉頭気管炎に関する情報が紹介されています。

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