鶏箇線

鶏箇線について

鶏箇線は、中国雲南省に存在した、鶏街駅と箇旧駅を結ぶ全長31kmのナローゲージ鉄道でした。軌間は610mmで、かつては蒙宝線の支線として機能していました。1921年に開通し、1991年に運転を停止するまで、地域住民の足として重要な役割を果たしました。

歴史

鶏箇線の歴史は、箇碧鉄道として始まりました。当初は碧色寨駅と箇旧駅を結ぶ路線の一部でしたが、1936年に鶏街駅から石屏駅が開通したことで、支線となりました。1965年に箇碧鉄道は蒙宝線に改名されました。1970年に蒙宝線がメーターゲージに改軌される中、鶏箇線は改軌されることなく、1991年の運転停止まで、中国に残る最後の610mm軌間の鉄道としてその姿をとどめました。

路線と特徴

鶏箇線には、全線に8つのトンネルがあり、その総延長は1648メートルに及びます。路線は鶏街駅から南西に向かって走り、乍甸河に沿って6km進む間に152mを上ります。その後、3.4kmで40mを下り乍甸駅に到着。さらに17kmの連続した上り勾配を越え、標高1716mの分水嶺を通過し、箇旧市へと下るという、起伏に富んだ路線でした。

特に第7トンネル（全長620m）は急勾配で、下りは4分で通過できましたが、上りでは蒸気機関車の蒸気準備に20分近い時間を要しました。トンネル内は煤煙で充満したため、乗客はトンネル手前で下車し、徒歩で迂回することが推奨され、それは「雲南十八怪」の「火車没有汽車快（汽車より遅い列車）」という表現の由来の一つにもなりました。これは、当時の鉄道事情と地域文化を物語る興味深いエピソードです。

終焉

1985年には、稼働可能な機関車が2台にまで減少し、旅客輸送は停止されました。その後、1991年に運転を停止し、2008年に廃止・撤去されました。鶏箇線は、その短い歴史の中で、中国のナローゲージ鉄道の歴史を象徴する存在として、多くの人々の記憶に残っています。

参考文献

《雲南省誌 巻三十四 鉄道誌》 第一章 鉄路修建 第二節 蒙宝鉄路
北龍一「雲南“窄軌線”紀行」『鉄道ジャーナル』No.293号（1991年3月）

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