鶴田浩二襲撃事件

鶴田浩二襲撃事件

概要

鶴田浩二襲撃事件とは、1953年1月6日に発生した、一人の有名な俳優に対する暴力団の攻撃を指します。この事件は、当時日本の芸能界に生じていた暴力団の影響力を浮き彫りにする重要な出来事となりました。事件の背後には、暴力団・三代目山口組とその組員、さらには鶴田浩二のマネージャーとの葛藤が存在し、この襲撃はその結果として引き起こされたものでした。

事件の詳細

事件は、大阪市天王寺区の旅館・備前屋において発生しました。午後7時すぎ、暴力団員たちが、ファンを装い鶴田浩二の夕食会に潜入し、そこで彼に対して襲撃をかけました。襲撃を指揮したのは、山口組の組員である梶原清晴氏で、他の組員たちと共に鶴田を威嚇し、ウィスキー瓶やレンガで暴行を加えました。鶴田は驚愕しつつも、命乞いをすることしかできなかったと言われています。この暴行により、彼は頭部や手に重傷を負い、救急車で病院に運ばれました。

背景

事件の背後には、鶴田浩二のマネージャーである兼松廉吉と山口組の若頭・田岡一雄との間にあったトラブルがありました。田岡は、鶴田と美空ひばりのジョイント公演を提案したものの、兼松がそれを断ったことに怒りを抱いていたのです。そのため、田岡は兼松への復讐として鶴田への襲撃を指示したとされています。

逮捕と捜査

この襲撃事件後、警察はすぐに捜査に乗り出しました。実行犯たちは逮捕され、取調べを受けることとなりました。特に、山口組興行部の西本一三は、梶原から直接襲撃の指示を受けたと証言しており、事件の捜査は進展していきましたが、田岡は自らの指示を否定し続けました。結局、幾人かの組員は起訴され、山本健一氏は懲役1年の判決を受けました。

その後

襲撃事件から数年後、兼松は自ら命を絶つという悲劇を迎えることになります。また、西本も運命に翻弄され、不可解な死を遂げました。一方、鶴田浩二は襲撃を受けた後、田岡に面会を申し出て、双方の誤解を解く機会を持つことになりました。最終的に彼らは和解し、その後、田岡は鶴田を支える立場へと転じました。

この事件は、当時の日本社会における暴力団の影響力や、芸能界における利害関係の複雑さを象徴しており、今でもその影響は語り草となっています。

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