鶴見緑地北車庫

鶴見緑地北車庫

鶴見緑地北車庫（つるみりょくちきたしゃこ）は、大阪府大阪市鶴見区緑三丁目五番地に位置する、大阪市高速電気軌道（Osaka Metro）の今里筋線専用車両基地です。

この車両基地は、広大な鶴見緑地の北西エリア地下に設けられています。主に今里筋線を走る80系電車の留置場所として機能し、また日常的な点検や整備といった軽度の検査を実施する拠点でもあります。Osaka Metroの車両基地の中では比較的コンパクトな規模です。地上には車両搬入用の設備と職員用の出入り口があるのみで、他の構造物は地下にあります。当施設は、大阪市交通局による市営地下鉄事業が2018年4月1日に民営化された際、新設された大阪市高速電気軌道株式会社へと引き継がれました。

当車庫では、今里筋線の主力車両である80系電車のうち、一編成を除く16編成、計64両を収容しています。実施されるのは、列車の夜間留置や基本的な機能確認といった軽検査が中心です。より詳細な部品交換や修理が必要な大規模検査（重検査）は、この基地内では行われません。これらの車両は、後に述べる特別な連絡線を通じ、長堀鶴見緑地線の車両基地である鶴見検車場へ移動して重検査を受ける運用となっています。

車両基地と今里筋線本線を接続する出入庫線は、清水駅の近くで本線から分岐しています。これにより、車両は滞りなく基地と路線間を行き来できます。今里筋線の列車に乗り、前方の窓から車窓を眺めると、清水駅周辺でこの出入庫線や、基地に停まっている車両の一部を確認できます。この出入庫線の建設にあたっては、今里筋線本線と同様に、急なカーブを持つシールドトンネルを掘削する先進的な工法が用いられました。その技術力は高く評価され、2005年度に土木学会関西支部技術賞を受賞したほか、土木学会関西支部創立80周年記念行事の「市民の土木賞」でも特別賞を受賞するなど、複数の賞に輝いています。

さらに、鶴見緑地北車庫の地下構内からは、鶴見緑地の下を通り、長堀鶴見緑地線の鶴見検車場へ通じる連絡線が敷設されています。この連絡線は、今里筋線と長堀鶴見緑地線という異なる路線の車両基地間を地下で直接結びつけています。これにより、前述した80系車両の重検査のために車両を鶴見検車場へ回送することが可能となり、両基地の施設や機能を効率的に共用する体制が実現されています。異なる路線の車両基地を地下連絡線で結ぶ構造は、非常にユニークな特徴と言えます。

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