鷺沼車両基地

鷺沼車両基地：半蔵門線と日比谷線を支える車両基地

鷺沼車両基地は、神奈川県川崎市宮前区小台に位置する東京メトロの車両基地です。主に半蔵門線で使用される車両が所属していますが、日比谷線の車両の定期検査も行っています。

概要

鷺沼車両基地は、鷺沼駅の南東に隣接しており、広大な敷地を有しています。基地内は、車両の収容・検査を行う鷺沼検車区、車両の修繕を行う鷺沼工場、そして鷺沼車両事務所で構成されています。

この車両基地は、元々東急電鉄が田園都市線の開通に合わせて開設した検車区でした。しかし、半蔵門線との相互直通運転が開始されるにあたり、半蔵門線側に車両基地を設けることが難しかったため、東急が長津田検車区へ機能を移転し、その跡地を東京メトロの前身である帝都高速度交通営団（営団地下鉄）が譲り受けたという経緯があります。

その名残として、鷺沼検車区から田園都市線の上り線側にある留置線は、現在も東急の長津田検車区鷺沼車庫として使用されています。東京メトロの車両基地が、乗り入れ先の路線上に存在する珍しい例となっています。同様の例としては、日比谷線の千住検車区竹ノ塚分室や、Osaka Metro堺筋線の東吹田検車場などが挙げられます。なお、鷺沼車両基地への回送業務は、東急電鉄に委託されています。

鷺沼検車区

鷺沼検車区では、半蔵門線で使用される車両の収容、月検査、列車検査など、多岐にわたる業務が行われています。

設備

最大留置両数：180両
検査庫：月検査と列車検査を実施
転削庫：車輪の異常摩耗を修正するための車輪転削盤を設置

配置車両（2024年4月1日現在）

8000系電車：80両
08系電車：60両
18000系電車：110両

鷺沼工場

鷺沼工場は、1983年10月1日に鷺沼検車区から分離独立して発足しました。それ以前は、鷺沼検車区が暫定的に車両の検修業務を担当していました。

当時の営団地下鉄では、車両の検査周期が定められており、重要部検査は2年以内または走行距離30万km以内、全般検査は4年以内とされていました。鷺沼工場では、現在、半蔵門線と日比谷線の車両に対して、定期的な全般検査および重要部検査を実施しています。かつて日比谷線車両の定期検査は千住工場で行われていましたが、2004年2月に鷺沼工場に統合されました。

日比谷線の車両は、通常、中目黒駅から東急東横線、目黒線、大井町線、田園都市線を経由して回送されます。

担当車両

半蔵門線：8000系電車、08系電車、18000系電車
日比谷線：13000系電車

沿革

1979年5月10日：営団鷺沼検車区着工
1979年7月23日：東急が長津田検車区へ移転し、営団側に設備と跡地が譲渡
1980年9月1日：営団鷺沼検車区発足
1981年10月1日：暫定的に車両検修業務を開始
1983年10月1日：車両検修業務が分離独立し鷺沼工場が発足
1992年10月および12月：脱線事故が連続して発生
2002年度：半蔵門線水天宮前～押上間の延伸に伴い、留置線を増設
2004年2月：千住工場廃止に伴い、日比谷線車両の検修業務を開始

脚注

帝都高速度交通営団『東京地下鉄道半蔵門線建設史（渋谷 - 水天宮前）』- メトロアーカイブアルバム（公益財団法人メトロ文化財団）
帝都高速度交通営団『東京地下鉄道東京地下鉄道半蔵門建設史（水天宮前 - 押上）』- メトロアーカイブアルバム（公益財団法人メトロ文化財団）

関連項目

日本の車両基地一覧
営団地下鉄半蔵門線鷺沼車庫脱線事故

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