鹿児島市交通局2100形電車

鹿児島市交通局2100形電車

鹿児島市交通局2100形電車は、1989年にJR九州の鹿児島車両所で製造された、鹿児島市電の路面電車車両です。この車両は、鹿児島市の市制施行100周年と鹿児島市電の開業60周年を記念して導入されたもので、2101号と2102号の2両が現在も在籍しています。

概要

2100形電車は、1963年に製造された600形電車以来、実に26年ぶりとなる新型車両の登場でした。市民にとって記念すべき年に相応しい特別な電車の設計は、市電の未来を見据えたものでした。

車両の特徴

その設計は、従来の800形電車の寸法を参照しており、独特のスタイルを持っています。車体は鋼鈑プレス材を使用し、軽量構造が特徴です。前部には大きな一枚窓が配されており、視界を確保しています。また、方向幕は窓の内側に配置され、前照灯は尾灯と一体仕様で下部に設置されています。このデザインにより、車両の外観はすっきりとした印象を与えています。

側面の窓は2,032mmの幅を持ち、犬走で運転席に近い2枚以外は上段引き違い、下段固定とされています。引き戸式の扉も引き続き採用されており、ドアの下部にも小さな窓が設けられています。運転台には両手式のワンハンドルマスコンが採用されており、鹿児島市電では初めての取り組みです。集電装置にはZ形パンタグラフが使われ、車両の性能を最大限に引き出しています。台車はFS-90型が使われており、砂まき装置も装備されています。

制御と車内

2100形電車の制御方式は、電磁空気操作による単位スイッチ式の抵抗制御が採用されています。ブレーキ装置には全電気指令式の電磁直通方式が用いられ、安全性が確保されています。車内の座席配置は、クロスシートとロングシートを千鳥配置で配置され、自動転換式のクロスシートが特に特徴的です。

この車両を手がけたのは、当時のJR九州の鹿児島車両所で、外部向けとして初めての製造車両となります。設計から製造にかけては「市電プロジェクト」が発足し、プロジェクトに携わった全員が自信を持って取り組みました。

良好な性能

試運転においては、専用に設けられた100mの1,435mmゲージ軌道上で実施され、ED76形電気機関車を介して電流が整流され、効率的な試運転が行われました。車内には「JR九州鹿児島車両所」の銘板が取り付けられており、良質な製品であることを示しています。

2101号車には「しろやま」、2102号車には「さくらじま」といった愛称が付けられ、2100形全体の名称は「21世紀を先取りする電車」に由来しています。

車両の改修と塗装

1995年には車内の転換クロスシートがロングシートに改造され、より多くの乗客が利用しやすいようになりました。また、塗装については、登場当初は2101が緑と黄、2102が赤と紫のカラフルなデザインが施されていましたが、2007年以降は広告がないタイミングでは、黄色と緑の標準塗装に戻されています。

参考文献

本稿にあたっては、鹿児島市電に関する文献を参考にしました。具体的には、水元景文の著書『鹿児島市電が走る街 今昔 花と緑あふれる南国の路面電車定点対比』をはじめ、鹿児島市交通局の公式ウェブサイトを参照しました。

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