方向幕

方向幕（ほうこうまく）

方向幕は、公共交通機関の車両に取り付けられ、行き先や運行区間、路線名などを表示するための装置です。英語では「ロールサイン（Rollsign）」と呼ばれています。日本では鉄道やバスに広く利用されており、利用者にとって非常に重要な役割を果たしています。ここでは、方向幕の概要や機能、趣味の対象としての側面について詳しく解説します。

概要

方向幕は、かつての金属やプラスチック製の行先標（サボ）に代わるもので、列車やバスの車両前面および側面に設置されます。基本的には、行き先だけを表示するタイプのものは「行先字幕」や「行先表示幕」と呼ばれ、運行種別や系統番号については「種別幕」や「系統幕」と呼ばれます。
また、視認性の向上を目的に、行先が記載された幕の裏側から白熱電球や蛍光灯で照らされることがあり、これを「行灯式方向幕」と言います。特定の路線では、始発駅と終着駅を交互に表示する「バイナリー・ヘッドマーク」と呼ばれる形式も存在します。

技術の進化

1990年代以降、方向幕の技術は進化し、電光表示型の方向幕が多く採用されるようになりました。新造車両はおおよそLED表示器を装備し、既存の幕式方向幕もLED式に替えられる場合が多いです。また、近年ではカラー液晶ディスプレイ（LCD）を利用した行先表示器が開発され、名古屋[[鉄道]]や京阪電気[[鉄道]]でも導入例が見られます。しかし、多くの場所で依然として従来の幕式方向幕が使われており、特に駅名変更などによる更新が必要とされる場面でも見かけます。

趣味としての方向幕

日本では、鉄道やバスファンにとって方向幕は人気のコレクターズアイテムです。鉄道の日やバスの日などのイベントで廃品として販売されることが多く、短時間で完売することもあります。また、ネットオークションでは高額で取引されることも多く、時には盗難の被害に遭うこともあります。そのため交通事業者では、方向幕を模したミニチュア商品やタオルなどの公式グッズを販売して、ファンの需要に応えています。

各国の方向幕

日本以外の国でも方向幕は使用されています。韓国の地下鉄でも日本と類似した方向幕があり、最近ではLED化が進んでいますが、側面の表示がホームドアによって見えにくい状況が確認されています。中国や台湾でも類似のシステムがあり、行き先や列車名などを表示することが一般的です。インドネシアのKRLジャボタベックでも方向幕が使用されています。

バスでの表示

バスにおいても方向幕は重要な役割を担います。バスの前面や側面、後部に行き先や系統番号が表示され、多くの経由地があるケースもあります。特に日本のバスでは、経由地や路線名を明示することが求められており、立ち寄る停留所を表示するスタイルが採用されています。
また、LED式表示が普及し、切り替えが簡単になったため、走行中に経由地や最終接続便の表示を変更する事例が増えています。特定の路線では、最終便や深夜便を識別するための特別な表示も行われており、料金が変わらない場合でも目立つ形で示されています。

結論

方向幕は公共交通機関の重要な情報伝達手段として、その役割を果たしています。特に日本では鉄道やバスファンにとっての趣味の対象でもあり、今後も進化し続けることが期待されています。技術の発展とともに、方向幕は今後どのように変化していくのか、注目されるところです。

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