鹿島パラダイス

「鹿島パラダイス」は、1972年にベニー・デスワルトとヤン・レ・マッソンが共同で監督したフランスのドキュメンタリー映画です。この作品は、1970年代の高度経済成長期における日本の姿を、開発によって変貌していく農村の様子を通して描いています。

映画の舞台は、鹿島臨海工業地帯です。かつてはのどかな農村だったこの地が、臨海工業地帯に指定されたことで、大規模な開発が進められていきます。農民たちは土地を手放し、工場労働者へと転身せざるを得なくなります。開発によって急速に発展していく鹿島の様子は、まるで歓楽郷（鹿島パラダイス）のように映し出されます。しかし、その一方で、開発の陰で失われていくもの、変化を余儀なくされる人々の姿も描かれています。

この映画では、開発に抵抗する人々の姿も捉えられています。象徴的なのは、新東京国際空港（現在の成田国際空港）の建設に反対し、土地を守り抜こうとする農民たちです。彼らの闘いは、開発の波に飲み込まれていく人々の抵抗の象徴として描かれています。

映画の最後は、「鹿島は資本主義のパラダイスだ」という言葉で締めくくられます。この言葉は、高度経済成長の光と影、そして資本主義社会における開発の矛盾を象徴的に表しています。

「鹿島パラダイス」は、1973年度のジョルジュ・サドゥール賞を受賞しました。この作品は、単なるドキュメンタリー映画としてだけでなく、高度経済成長期の日本社会を深く理解するための貴重な資料としても評価されています。

作品データ

映像: 白黒 - 35 mm - モノラル
ジャンル: ドキュメンタリー
* 上映時間: 110分

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