鹿島茂

鹿島茂の生涯と業績

鹿島茂（かしま しげる）、1949年11月30日生まれは、神奈川県横浜市金沢区に生まれた日本の著名なフランス文学者です。東京大学文学部を卒業後、大学院に進学し、19世紀フランス文学を専門にした研究と翻訳活動を行いました。1978年には同大学院から博士課程を満了し、共立女子大学で教鞭を取った後、2008年から明治大学で教授を務めました。2020年に定年退職を迎えた後も、さまざまな文化活動や評論に関与しています。

鹿島は、オノレ・ド・バルザックやエミール・ゾラ、ヴィクトル・ユーゴーなど、19世紀フランス文学の巨匠を題材にしたエッセイを書くことで知られています。彼のエッセイは、文学的な視点からのみならず、文化や社会についての広範な知識を駆使して展開されるため、多くの読者に深く支持されています。特に1990年代からは執筆活動を活発化させ、数々の賞を獲得しました。彼の代表作『馬車が買いたい！』はサントリー学芸賞を受賞し、また『子供より古書が大事と思いたい』で講談社エッセイ賞を受賞するなど、彼の作品は高く評価されています。近年では、セクソロジーに関する著書や、近代日本をペルソナを通じて語る作品も登場し、多様なテーマで読者の関心を集めています。

古書に対する深い愛情も特徴の一つです。特に19世紀フランスの希覯書を収集しており、その情熱は家具メーカーを動かし、天井つっぱり式の本棚「カシマカスタム」を生み出すほどでした。この独自の本棚は、彼の古書収集への執着心を象徴しています。さらに、鹿島は映画にも大変情熱を注いでおり、大学院生時代には年に400本以上の映画を観ていたという映画マニアとしても知られています。著作『甦る昭和脇役名画館』ではその映画に対する情熱とこだわりが遺されており、映画界における彼の影響力も見逃せません。

そして、2017年には書評アーカイブWEBサイト「ALL REVIEWS」を開設し、明治以来の書評を収集し、アーカイブするプロジェクトを立ち上げました。これにより、彼の文学的な渉外や貢献がさらに広がることが期待されています。また、政治的な話題にも触れることがありますが、党派的意見を強く主張することはなく、対談形式の活動を通じて多角的な視点を持った対話を展開しています。

さらに、鹿島の息子は写真家の鹿島直であり、鹿島家は文化人としての伝統を引き継いでいます。現在も横綱審議委員会の委員を務めるなど、文化人としてだけではなく、社会的な活動にも積極的に参加していることが伺えます。

今回は、鹿島茂という一人の文学者の業績とその影響力について、その生涯を通じての多彩な活動を通じて紹介しました。彼は単なる文学界の権威にとどまらず、文化、社会、さらには政治にも意見を持ち、幅広い視野で思索を続けている現代の知識人として、今後の動向からも目が離せません。

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