鹿曲川

鹿曲川（かくまがわ）

鹿曲川は、長野県内を流れる信濃川水系の一級河川です。蓼科火山の東方、大河原峠付近を源流とし、北へ流れて東御市島川原で千曲川に合流します。

地理

鹿曲川の源流部は、蓼科火山の裾野に位置し、火山泥流地と台地の間の深い谷を流れています。このため、上流部は春日渓谷のような急峻な渓谷を形成しており、川から直接灌漑することが困難です。そのため、流域では本流や支流から取水する用水路が発達しました。上流部の急な勾配は標高1,100メートル付近から緩やかになりますが、中流から下流にかけては再び河床が急勾配となり、御牧ヶ原台地と八重原台地を東西に分けています。

寛政2年（1790年）には、佐久地域を襲った大洪水によって鹿曲川流域も甚大な被害を受けました。特に、河岸にあった望月新町は家屋の大半が流出し、現在の場所に移転するに至りました。鹿曲川によって形成された台地は、河床から100メートル以上も高いため水を得ることが難しく、江戸時代までは原野が広がっていました。八重原台地では17世紀中期から用水路が整備されましたが、御牧ヶ原台地で用水路が利用されるようになったのは昭和50年代と、比較的最近のことです。

支流

鹿曲川には、以下の支流があります。

細小路川（ほそこうじがわ）
八丁地川（はっちょうじがわ）
芦田川（あしだがわ）
番屋川（ばんやがわ）

鹿曲川と人々の生活

鹿曲川は、その地形的な特徴から、人々の生活に様々な影響を与えてきました。上流部の急峻な渓谷は、直接的な灌漑を困難にし、用水路網の発達を促しました。また、過去の大洪水は、流域の集落の移転や、台地での乏水性の問題を浮き彫りにしました。このように、鹿曲川は、その流れとともに、流域の人々の歴史や生活文化を育んできたと言えるでしょう。

参考資料

『長野県百科事典』 信濃毎日新聞社開発局出版部、1983年
『角川日本地名大辞典 20 長野県』 角川書店、1990年

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