鹿林天文台

鹿林天文台

鹿林天文台（ルーリン天文台）は、台湾の嘉義県と南投県の境界に位置する玉山国家公園内の鹿林前山、標高2862メートルに設置された天文台です。その高地という立地から、大気の影響を受けにくいクリアな観測環境が提供され、天文学研究において重要な役割を果たしています。

歴史

1989年に建設が開始され、1999年に口径76cmの研究用望遠鏡による観測が始まりました。長年にわたり、台湾の天文学研究を牽引してきた国立中央大学理学院天文研究所によって運営されています。

特筆すべきは、2007年7月にルーリン彗星（C/2007 N3）を発見したことです。この彗星は2009年2月24日に地球に最接近し、天文ファンや研究者の間で大きな話題となりました。

また、口径2mの大型望遠鏡の設置計画も進められていましたが、度重なる延期の末、2019年に行政院の決定により正式に中止となりました。この計画は「Pan-STARRS計画」との連携による全天定期観測を目的としていましたが、実現には至りませんでした。

現在の設備

鹿林天文台には、以下の主要な観測装置が備わっています。

LOT カセグレイン望遠鏡：口径1m（40インチ）、F/8の光学系を持つ、主要な観測望遠鏡です。
SLT RC望遠鏡：口径40cmのリッチー・クレチアン式望遠鏡で、広視野観測に利用されます。
TAOS（Taiwan-America Occultation Survey）掩蔽観測用望遠鏡：口径50cmの望遠鏡が4基設置されており、掩蔽現象の観測に特化しています。

これらの設備は、天体の位置や明るさの変化、スペクトル観測など、幅広い研究活動に活用されています。

研究活動と成果

鹿林天文台では、太陽系内の天体観測から、銀河や宇宙全体の構造に関する研究まで、多岐にわたるテーマに取り組んでいます。特に、小惑星や彗星の探索、掩蔽観測による天体サイズの精密測定、超新星などの突発天体現象の観測など、国内外の研究機関との連携も活発に行われています。

ルーリン彗星の発見は、天文台の観測能力の高さを広く示すとともに、国際的な天文学コミュニティにおいても、その存在を際立たせることとなりました。また、掩蔽観測では、台湾・アメリカ共同観測プロジェクト（TAOS）の一環として、数多くの観測データを収集し、小惑星の形状やサイズに関する知見を深めています。

今後の展望

口径2m望遠鏡の設置計画は中止となりましたが、既存の観測装置の性能向上や新たな観測プロジェクトの推進により、今後も台湾における天文学研究の中核拠点としての役割を担っていくことが期待されます。

関連情報

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外部リンク

* 鹿林天文台ホームページ（英語）

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