鹿苑寺 (美濃市)

鹿苑寺（ろくおんじ）

岐阜県美濃市立花に位置する鹿苑寺は、臨済宗妙心寺派に属する寺院で、山号を廬山と称します。この寺は、美濃三十三観音霊場の2番札所としても知られ、地域の人々に親しまれています。

歴史

鹿苑寺の始まりは、天台宗の僧侶である覚阿上人が開いた廬山大悲院に遡ります。覚阿上人は中国の廬山霊隠寺を訪れたことがあり、その縁から山号を廬山と名付けました。寺の歴史の中で特に重要なのは、郡上街道の地蔵坂峠に建つ地蔵堂です。この地蔵堂は、応長元年（1311年）の建立と伝えられていますが、現存する建物は室町時代に建てられたもので、その独特な形状から「六角堂」という通称で親しまれています。この六角堂は美濃市最古の建築物であり、中世の貴重な建造物として国の重要文化財に指定されています。堂内には、同じく室町時代に作られた地蔵菩薩像が安置されており、こちらは岐阜県の指定文化財となっています。

寺はその後、一時的に衰退しましたが、美濃市清泰寺の密巌和尚によって貞享2年（1685年）に再興され、寛保2年（1742年）には寺号を現在の鹿苑寺に改めました。大正5年（1916年）には、山上にあった観音像が山腹の鹿苑寺境内に設けられた観音堂に移設されました。

文化財

鹿苑寺には、国指定の重要文化財である地蔵堂があります。この地蔵堂は、通称「六角堂」と呼ばれ、立花六角堂とも呼ばれています。檜皮葺き、寄棟造りの建物は、応長元年（1311年）に飛騨の匠、藤原宗康によって建てられたと伝えられています。堂内に安置されている木造地蔵菩薩像は、当初、養老3年（719年）に泰澄によって作られたとされていましたが、実際には厨子とともに室町時代の作と考えられています。かつては、岐阜県重要文化財に指定されていた円空作の天部像も収められていましたが、2016年に盗難に遭い、失われてしまいました。

その他の見どころ

鹿苑寺の本尊である聖観音菩薩は、聖徳太子作と伝えられていますが、実際には鎌倉時代から室町時代にかけて作られたものと考えられています。この聖観音菩薩は、岐阜県の重要文化財に指定されており、古くから廬山観音として地域の人々の信仰を集めています。この寺は、歴史的な建造物や文化財を通じて、地域社会に深い影響を与えてきました。

参考文献

美濃市史 通史編上巻
美濃西国三十三所観音巡礼

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