霊隠寺

霊隠寺（れいいんじ）

霊隠寺は、中華人民共和国浙江省杭州市西湖区に位置する著名な仏教寺院です。西湖の西側の山麓に位置し、その美しい景観と豊かな歴史から多くの人々が訪れます。別名、雲林禅寺とも呼ばれています。

歴史

霊隠寺は、東晋時代の咸和元年（326年、または328年）に、インド出身の僧侶である慧理によって創建されたと伝えられています。9世紀の会昌の廃仏によって一時廃止されましたが、五代十国時代の呉越国の王、銭弘俶によって建隆元年（960年）に再建されました。その後、南宋時代には禅宗五山の一つに指定され、中国仏教における重要な地位を確立しました。

清の時代に入ると、康熙帝によって雲林禅寺と改名されました。現在も天王殿には康熙帝直筆の額が残されており、また境内には康熙帝と乾隆帝の碑亭が建てられています。しかし、太平天国の乱によって多くの建築物が焼失し、現在の霊隠寺の建物は、その後に再建されたものがほとんどです。特に、大雄宝殿は1910年に再建されたものの、1949年に倒壊し、1954年に再度建て直されました。

特徴

霊隠寺には、創建当時の古い建築物はあまり残っていませんが、大雄宝殿の前にある石塔は呉越時代に造られた貴重な遺構です。また、天王殿の前に立つ経幢も10世紀のものであり、これらの石塔と経幢は、中華人民共和国全国重点文物保護単位に指定されています。天王殿に安置されている韋駄天像は南宋時代の作であり、清末以降の度重なる災害を免れて現存しています。

五百羅漢像が安置されている羅漢堂も有名でしたが、1936年に焼失し、現在の羅漢堂は再建されたものです。霊隠寺は、中国で非常に人気のある済公が出家した寺としても知られており、境内には済公を祀るための済公殿があります。

寺の近くにある飛来峰には、呉越時代から元代にかけての石刻像が300体以上も残されており、こちらも全国重点文物保護単位に指定されています。また、日中国交正常化30周年を記念して2002年には空海の像が建立されました。

霊隠寺は、豊かな自然と歴史的建造物が調和した、中国仏教文化の重要な拠点の一つです。多くの観光客や参拝者が訪れ、その美しい景観と静寂な雰囲気の中で、心の安らぎを求めています。

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