鹿鼎記 (1984年のテレビドラマ)

『鹿鼎記』（ろくていき）は、金庸の武侠小説を原作とし、1984年に香港の無綫電視（TVB）によって制作されたテレビドラマです。全40話で構成されており、主演は当時20代のトニー・レオンとアンディ・ラウが務めました。また、後にトニー・レオンの妻となるカリーナ・ラウも出演しており、このドラマは長らく『鹿鼎記』のドラマ版の代表作として知られています。

撮影セットは安価に見えるものの、物語の展開が非常にスピーディーで、出演者たちの演技が際立っているため、現在でも高い人気を誇っています。その魅力は、単なる時代劇にとどまらず、コメディやアクション、人間ドラマの要素を巧みに織り交ぜている点にあるでしょう。

物語の舞台は清朝時代。主人公は、揚州の遊郭で生まれ育った腕白な少年、韋小宝（演：トニー・レオン）です。ひょんなことから宮廷内で進行中の陰謀を知ってしまった彼は、成り行きで宮廷に潜り込むことになります。そこで彼は、宦官派と皇帝派の激しい暗闘に巻き込まれていきます。一方、康熙帝（演：アンディ・ラウ）は身分を隠して韋小宝と出会い、二人は兄弟のように親密な関係を築いていきます。そんな中、韋小宝は秘密結社・天地会に救われますが、天地会の目的は「反清復明」、つまり清朝宮廷の打倒でした。彼は天地会と皇帝の間で板挟みになりながらも、康熙帝の義妹を含む七人の妻を娶り、皇帝からは鹿鼎侯という高い位を与えられます。しかし、天地会との関わりが発覚し、彼の運命は大きく揺れ動くことになります。

このドラマの魅力は、主要キャストの演技力に加え、個性的なキャラクターたちが織りなす人間模様です。韋小宝のずる賢くもどこか憎めないキャラクターをトニー・レオンが見事に演じきり、真面目で威厳のある康熙帝をアンディ・ラウが力強く表現しています。また、如雙児役のエレーン・チョウ（周秀蘭）、阿珂役のション・ティンオー（商天娥）、方怡役のカリーナ・ラウなど、魅力的な女性キャラクターたちも物語を彩っています。

ドラマの制作スタッフは、原作を金庸、監督を李添勝が務めました。主題歌にはレスリー・チャン（張國榮）が歌う「始終會行運」が起用され、ドラマを盛り上げています。

日本では、2009年5月までGyaOで5話限定で放送されました（GyaOサイトのアーカイブ版で視聴可能）。また、2007年12月にはコニービデオよりDVDが発売され、日本語字幕版を楽しむことができます。

このドラマは、武侠ドラマとしての面白さはもちろんのこと、歴史とフィクションを巧みに織り交ぜたストーリー展開、そして、コメディ要素と人間ドラマの要素をバランス良く配置した構成で、幅広い視聴者層に支持されています。特に、主人公の韋小宝が様々な困難に立ち向かいながら成長していく姿は、多くの視聴者に感動を与えました。長年にわたり愛され続けているこのドラマは、武侠ドラマの傑作として、今後も語り継がれていくでしょう。

もう一度検索