黄ボール

黄ボールとは

黄ボールは、稲藁を主原料とする板紙の一種です。その名前は、稲わらや干し草を食む馬の糞の色に似ていることから、かつては「馬糞紙」とも呼ばれていました。この独特の色合いと風合いが特徴で、パルプを原料とする白ボール（白板紙の一種）とは異なる特性を持っています。

原料と製法

黄ボールの最大の特徴は、その原料にあります。一般的な白ボールがパルプを主原料とするのに対し、黄ボールは藁を使用します。西洋では、小麦やライ麦の麦わらを原料とした板紙が生産されていました。日本においては、1886年（明治19年）に佐久間貞一がオランダ製の麦わらを使用した黄ボールを模倣し、板紙の生産を開始しました。これが、日本における板紙生産の始まりとされています。しかし、日本では麦わらよりも歩留まりの良い稲わらが用いられるようになり、稲作地域を中心に多くの製紙メーカーが誕生しました。都市部では、縄、むしろ、俵などの廃材も原料として利用されていました。

用途

黄ボールは、その独特の質感と強度から、様々な用途に利用されています。そのまま箱の材料として使用されることもありますが、主な用途は貼箱の原紙です。貼箱とは、厚紙やボール紙で作られた箱に、美しい紙や布などを貼り付けたもので、贈答品などの高級感を演出するために用いられます。また、上製本の表紙の芯紙としても重要な役割を果たしています。上製本とは、耐久性や美しさを追求した本の製本方法で、黄ボールは表紙の骨格を形成する役割を担います。

さらに、近年では資源再生の観点から、化成品や木材に代わる保護材（当紙）としても活用されています。輸送時の製品を保護する緩衝材として、黄ボールが環境に配慮した代替素材として注目を集めています。

広義の黄ボール

広義の黄ボールには、狭義の黄ボールと白裏黄ボールがあります。狭義の黄ボールは、両面が黄色い板紙を指し、白裏黄ボールは片面が白く、裏面が黄色の板紙を指します。用途に応じて使い分けられています。

まとめ

黄ボールは、藁という自然素材を活かした、環境に優しい板紙です。その独特の色合いと風合いは、他の板紙にはない魅力を持ち、貼箱や上製本、保護材など、幅広い分野で利用されています。歴史的にも日本における板紙産業の発展に貢献してきた、重要な素材と言えるでしょう。

関連事項

ボール紙: 黄ボールと同様に、板紙の一種として知られています。様々な厚さや色があり、用途も多岐にわたります。
わら半紙: 藁を原料とする紙の仲間で、独特の風合いと質感を持っています。

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