わら半紙

わら半紙は、明治時代初期に日本で誕生した特有の洋紙です。当初は木綿のウエスや藁を原料としていましたが、現在では主に木材パルプと古紙を原料とする下級印刷用紙を指します。別名として「更半紙」や「洋半紙」とも呼ばれることがあります。

歴史と変遷

1882年、洋紙の国産化を目指して設立された製紙会社（現在の王子製紙）が、操業開始時に木綿ウエスと藁を原料として生産を開始しました。この紙が「わら半紙」と呼ばれるようになったのは、当初の原料に藁が使われていたためです。しかし、生産開始から数年後の1889年頃には、藁は木材パルプに切り替えられました。戦前から戦後にかけて、洋紙の原料として実際に藁が使われた記録はありません。現在では、主に木材パルプと古紙が配合の大部分を占め、晒化学パルプの配合率が40%以下の下級印刷用紙（白上更紙、上更紙、更紙、ラフ更紙）を示す名称として一般的に用いられています。

特徴と性質

わら半紙は、リグニンを除去していないため、上質紙に比べて比較的短期間で黄色く変色します。そのため、長期保存にはあまり適していません。更紙の場合、明灰色で白色度は50%前後、密度は0.6g/cm3、坪量は米坪48g/m2（厚さ0.06mm相当）程度です。この規格は、軽量化以前のかつての新聞巻取紙の規格に近いものとなっています。

現在の状況

わら半紙は、1960年まで消費者物価指数の調査対象品目となっていました。その後、調査対象品目から外れても、学校や企業、官公庁などで、謄写版印刷を含む謄写ファックス印刷用途に長く用いられてきました。しかし、1990年代に入り事務作業のOA化が進むと、PPC複写機で紙詰まりを起こしやすいことから、上質紙にその地位を譲り、製紙会社の受注量も減少しました。現在では、コスト面での優位性も逆転しており、一般向け商品として取り扱う小売店は少なくなっています。

和紙の「わら半紙」

洋紙として生産された「わら半紙」とは別に、稲藁を原料とした漉き紙（和紙）を「わら半紙」と呼ぶ場合があります。奈良時代の『正倉院文書』には、紙質不明ながら原料別に細かく分類したと推定される複数の紙名が記されており、そのうち「藁葉紙（わらはがみ）」は、藁の繊維をコウゾなどに混ぜて特徴を出させたものと考えられています。現在でも、鳥取県因州和紙協同組合（鳥取市）などが、主に書道用紙として藁を原料に漉いた製品を生産しています。

関連情報

• - 紙
• - 板紙
• - 半紙
• - コピー用紙
• - 印刷
• - 製紙業
• - 地球釜

もう一度検索