黄昏ダンシング

「黄昏ダンシング」（たそがれダンシング）は、日本の歌手、麻倉未稀によって1983年11月21日に発表された、キャリア通算8作目となるシングル盤である。このシングルはキングレコード内のCRYSTAL BIRDレーベルからリリースされた。

本楽曲は、当時毎日放送（MBS）が制作し、TBS系列を通じて全国ネットで放送されていたテレビドラマ『さよならを教えて』の挿入歌として起用されたことで、広く認知されることとなった。ドラマの効果もあり、楽曲は商業的にも成功を収めた。国内の主要音楽チャートであるオリコンチャートにおいては、週間ランキングで最高位12位を記録。最終的には22.2万枚というセールスを達成した。この売上枚数は、当時のオリコンの集計データに基づいて、麻倉未稀がこれまでにリリースしたシングルの中で最も高い数字であり、「黄昏ダンシング」は彼女にとって最大のヒット曲として位置づけられている。

楽曲のヒットに伴い、麻倉未稀はTBS系の人気音楽番組「ザ・ベストテン」に出演する機会を得た。最初の出演は、1984年1月5日に放送された回で、「今週のスポットライト」コーナーにてその歌声が披露された。さらに楽曲の人気が持続し、同年2月23日の放送回では、見事週間ランキングで9位にランクインを果たし、二度目の出演となった。

「ザ・ベストテン」出演時には、番組側によって麻倉未稀のパーソナルな側面が紹介されることがあった。特に話題となったのは、彼女が好物として挙げた「納豆」である。この意外な好物がきっかけとなり、番組内でユニークな企画が生まれた。中華まんの具材に納豆を使い、特製の「未稀まん」と名付けられたオリジナルの調理品が作製されたのである。この「未稀まん」は、番組の企画として視聴者プレゼントに供され、当時の視聴者やファンの間で記憶に残るエピソードとして語り継がれている。音楽的な評価だけでなく、こうした親しみやすいエピソードも、本楽曲と麻倉未稀の知名度向上に一役買ったと言えるだろう。

このシングルには、表題曲「黄昏ダンシング」の他に、カップリング曲が1曲収録されている。

黄昏ダンシング
作詞：竜真知子
作曲・編曲：渡辺博也
演奏時間：3分48秒

ファー・フロム・オーヴァー
作詞：F. Stallone
作曲：V.Dicola
訳詞：麻倉未稀
編曲：大谷和夫
演奏時間：3分49秒

「ファー・フロム・オーヴァー」は、アメリカ合衆国の俳優であり歌手でもあるフランク・スタローンが発表した同名曲のカバーバージョンである。オリジナル曲はF. Stalloneが作詞、V.Dicolaが作曲を担当しており、本シングルに収録されたバージョンでは、麻倉未稀自身が日本語の訳詞を手掛けた。洋楽を日本語でカバーすることは、当時の日本の音楽シーンにおいてしばしば見られた手法であり、「黄昏ダンシング」のシングルも、A面でオリジナルの歌謡曲、B面で洋楽カバーという構成を取ることで、多様な音楽性を示している。

「黄昏ダンシング」は、麻倉未稀のキャリアにおける商業的なピークを示す楽曲の一つであり、テレビドラマとのタイアップや人気音楽番組への出演を通じて、多くの人々に知られることとなった。特に、自身の最大のヒットとなったことや、「ザ・ベストテン」での個性的なエピソードは、後年の音楽史において語られる際の重要な要素となっている。

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