黄潤玉

黄潤玉（こう じゅんぎょく）

黄潤玉は、明代に活躍した儒学者であり、官僚としても重要な役割を担った人物です。1389年に生まれ、1477年に89歳で亡くなりました。字は孟清、号は南山と称し、その学識と公正な姿勢で知られています。本貫は寧波府鄞県です。

生涯

黄潤玉は、黄良と史氏の間に生まれました。1403年、明の永楽帝の時代に、江南の富裕層が北京へ強制的に移住させられることになった際、父に代わって自ら移住を志願しました。当時、彼はまだ若年でしたが、役人に対して「父が行けば日々老いるばかりだが、子が行けば日々成長する」と述べ、その決意と孝行心を示し、移住を許可されたという逸話が残っています。

1420年には、順天府の郷試に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。建昌府学訓導に任じられましたが、父の死去に伴い一時帰郷し喪に服しました。喪が明けると、南昌府学訓導に転任。その後、宣徳年間には、その才能を認められ、交趾道御史に抜擢されました。湖広への出向では、不正を働く官吏を厳しく取り締まり、120人もの不適格者を排除しました。

1437年、楊士奇の推薦により広西提学僉事に昇進しました。当時、広西では反乱が起きており、官軍の都指揮官が罪のない民衆を多数拉致していたため、黄潤玉はこれを糾弾し、都指揮官を罷免させました。また、副使が数百人もの民衆を死罪にしようとした際には、彼らを弁護し釈放させるなど、民衆の救済に尽力しました。さらに、南丹衛の駐屯地が不衛生で、多くの兵士が疫病で命を落としていたため、駐屯地の移転を進言し、環境改善に貢献しました。

その後、母の死去に伴い再び帰郷し喪に服した後、湖広按察僉事として官界に復帰しました。しかし、湖広巡撫の李実の親族や友人の不正を暴き罷免させたため、李実の怒りを買い、1452年には、刑律の知識不足を理由に含山知県に左遷されました。その後、老齢を理由に辞職し、故郷に戻り余生を過ごしました。1477年5月2日、89歳でその生涯を閉じました。

著書

黄潤玉は、学者としても多くの著作を残しており、その学識の深さを示しています。

『儀礼戴記附注』5巻
『考定深衣古制』1巻
『経書補注』4巻
『経譜』1巻
『学庸通旨』1巻
『道徳経注解』2巻
『海涵万象録』3巻
『南山稿』

子女

黄潤玉には、以下のような子息がいました。

黄性（永新訓導）
黄教
黄道
黄隆（1454年の進士、四川按察司副使）
* 黄達（国子監生）


黄潤玉は、官僚としては不正を許さず、民衆を救うことに尽力し、学者としては深い学識と多くの著作を残した、明代を代表する人物の一人と言えるでしょう。

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