黄玉郎

黄玉郎（ウォン・ヨクロン）：香港漫画界の巨星

黄玉郎（ウォン・ヨクロン、本名：黄雅朕、1950年 - ）は、「香港漫画王」「香港漫画の父」と称される香港を代表する漫画家です。潮州で生まれ、7歳で香港に移住。13歳で学校を中退後、漫画家のアシスタントとしてキャリアをスタートさせました。

初期には「超人之子（ウルトラマンの息子）」などの作品を手掛け、ペンネームである黄玉郎の名を世に知らしめました。15歳で漫画の日刊新聞と出版社を共同で設立するも、事業は失敗に終わりました。しかし、彼はその挫折を糧に、漫画家としての道を邁進します。

1969年、18歳の時に出版した『小流氓』（後の『龍虎門』）が初版7000部で発売されると、爆発的な人気を博し、一躍有名になりました。この作品は、彼の名を香港漫画界に轟かせるきっかけとなりました。1979年には、玉郎国際集団有限公司（現・文化伝信集団有限公司）を設立し、経営者としても手腕を発揮します。

1980年代に入ると、若手漫画家の馬栄成（マー・ウィンシン）が『中華英雄』の連載を開始。黄玉郎が所有する出版社「玉郎機構」からコミックスが発売され、20万部を超える大ヒットとなりました。この成功を機に、邱福龍、李志清など、多くの優秀な漫画家が「玉郎機構」に集結し、香港漫画界を牽引する存在へと成長を遂げました。

1983年には、『酔拳』、『如来神掌』、『李小龍』、『漫画帝国』、『玉郎漫画』、『寿星仔』など、数多くのコミックを出版し、その勢いは増すばかりでした。

1986年、玉郎国際集団有限公司は香港証券取引所に上場し、資産は20倍の20億香港ドルに達したと言われています。1987年には絶頂期を迎え、香港コミック市場の8割以上を占めるまでになりました。しかし、この成功の裏で、有力漫画家たちが次々と独立し、「玉郎」を離れていきました。劉定堅、馮志明が「自由人出版」を設立し、1989年には馬栄成も独立し「天下出版」を設立するなど、業界に大きな変化が訪れます。

1987年の米国株大暴落「ブラック・マンデー」以降、香港市場も悪化し、玉郎国際集団有限公司も経営難に陥ります。資金繰りの悪化に苦しんだ黄玉郎は、不祥事を起こし逮捕され、懲役4年の実刑判決を受け、1991年に入獄しました。この黄玉郎の不在時、香港コミック界には多様性が生まれました。1992年、玉郎国際集団有限公司は文化伝信集団有限公司（カルチャーコム社）に改称し、黄玉郎とは異なる経営路線を歩むことになります。

1993年、釈放された黄玉郎は、捲土重来を期して新会社「玉皇朝」を設立しました。『天子傳奇』、『神兵玄奇』、金庸原作の武俠作品『天龍八部』などを手がけ、見事に業界への復帰を果たしました。

黄玉郎の主な作品

金庸原作の武俠コミック
『天龍八部』
『射鵰英雄伝』
『鹿鼎記』
『神鵰俠侶』
『俠客行』
その他
『龍虎門』
『新著龍虎門』
『小魔神』
『酔拳』
『龍虎5世』
『天子傳奇』
『如来神掌』
『流氓天子』
『神兵玄奇』
『霹靂』
『大聖王』
その他多数

関連事項

香港の漫画
中国の漫画
金庸
武侠小説
馬栄成
漫画家一覧#アジア
かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート
韓国の漫画
マレーシアの漫画

黄玉郎は、その波瀾万丈な人生とともに、香港漫画界の発展に大きく貢献した人物として、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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