黄珞周

黄珞周（ファン・ナクチュ） - 韓国政界の重鎮

黄珞周（ファン・ナクチュ、1928年3月22日 - 2002年12月12日）は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて韓国政界で活躍した重要な政治家の一人です。彼は第8代から第15代までの7期にわたって国会議員を務め、その間、国会議長を2期も務めるなど、韓国政治の中枢を担いました。

慶尚南道鎮海市で生まれ育った黄珞周は、鎮海京華初等学校、馬山商業高等学校を経て、ソウル大学商学部経済学科を卒業しています。さらに、早稲田大学大学院政治学研究科政治学専攻にも進学し、高度な知識と見識を磨きました。学業を終えた後は、鎮海女子中・女子商業高校の校長や理事長を務め、教育界で経験を積んだのち、1971年の第8代総選挙に立候補し、政治家としてのキャリアをスタートさせました。

政界入り後は、新民党や統一民主党など様々な政党に所属し、党内要職を歴任しました。新民党慶南支部副委員長、慶南第6地区党委員長、新民党慶南道党委員長、院内首席副総務、政務委員、中央人権擁護委員長などを務め、党内での影響力を強めていきました。国会では、動力資源委員長、副議長、そして国会議長を務め、韓国政治の重要な意思決定プロセスに関わりました。国際的にも活動し、APU韓国代表を務めた経験もあります。1999年には昌原大学校から名誉博士（文学）の学位を授与されています。

黄珞周の政治活動は、常に激動の韓国政治と深く関わっていました。特に、1980年の5・17非常戒厳令拡大措置の際には、戒厳軍によって占領された国会議事堂を通り抜けようとして連行され、その様子は写真に記録されています。この出来事は、彼の政治的信念と行動力の強さを示す象徴的なエピソードと言えるでしょう。

2002年12月11日夜、自宅のトイレで倒れ、搬送先のソウル峨山病院で翌12日午前0時30分に74歳で亡くなりました。彼の死は、韓国政界に大きな衝撃を与えました。

黄珞周は、政治家としての活動以外に、選挙区画変更に関する興味深い逸話も残しています。昌原市の城山区と義昌区の境界線の変則的な形状は、1991年に人口増加により昌原市の選挙区を分割する際に、黄珞周の意向が反映された結果であると言われています。具体的には、城山区盤松洞を義昌区に、代わりに龍池洞を城山区に編入させることで、選挙区の有利な調整（ゲリマンダリング）が行われたというのです。この不自然な境界線は、2021年7月1日に龍池洞などが義昌区から城山区に移管されることでようやく解消されました。

黄珞周は、長く韓国政治の中枢で活躍し、多くの実績を残しました。彼の政治家としての生涯は、激動の時代を生き抜いた一人の政治家のドラマであり、韓国現代史を語る上で欠かせない重要な要素です。彼の功績と逸話は、これからも人々に語り継がれていくでしょう。

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