黄耆建中湯

黄耆建中湯（おうぎけんちゅうとう）は、中国の古典医学書『金匱要略（きんきようりゃく）』の「血痺虚労病篇（けつひきょろうびょうへん）」に収載されている漢方薬です。体力が低下し、疲れやすい方の様々な症状に用いられます。

構成生薬

黄耆建中湯は、以下の生薬で構成されています。

黄耆（オウギ）：気を補い、体の防御機能を高める
桂皮（ケイヒ）：体を温め、血行を促進する
芍薬（シャクヤク）：筋肉の緊張を和らげ、痛みを鎮める
生姜（ショウキョウ）：体を温め、消化を助ける
大棗（タイソウ）：胃腸を丈夫にし、体力を回復させる
甘草（カンゾウ）：炎症を抑え、痛みを和らげる
膠飴（コウイ）：胃腸を潤し、栄養を補給する

これらの生薬が配合されることで、体を温めながら、体力を回復させ、痛みを和らげる効果を発揮します。

効能・適応症

黄耆建中湯は、主に以下の効能・適応症があります。

調和営衛（ちょうわえいえい）：体表のバリア機能を調整し、汗のかき方を正常にする
緩急止痛（かんきゅうしつう）：筋肉の緊張を和らげ、痛みを鎮める
益気実衛（えっきじつえい）：体力を回復させ、体の防御機能を高める

具体的には、以下のような症状に用いられます。

虚弱体質
病後の衰弱
寝汗
アレルギー性鼻炎
慢性中耳炎
皮膚潰瘍

特に、虚弱体質で、疲れやすく、寝汗をかきやすい方に適しています。また、アレルギー性鼻炎や慢性中耳炎、皮膚潰瘍など、慢性の炎症性疾患にも用いられることがあります。

類方

黄耆建中湯と類似した漢方薬として、以下のものがあります。

小建中湯（しょうけんちゅうとう）：黄耆建中湯から黄耆を除いたもので、より体力のない方や、腹痛を伴う場合に用いられます。
帰耆建中湯（きぎけんちゅうとう）：黄耆建中湯に当帰（トウキ）を加えたもので、血虚（血の不足）を伴う場合に用いられます。

これらの類方は、患者さんの体質や症状に合わせて使い分けられます。

黄耆建中湯は、比較的安全な漢方薬ですが、服用に際しては、医師や薬剤師に相談することが大切です。特に、他の薬を服用している場合や、妊娠中、授乳中の方は、必ず相談してください。

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