黄色い部屋の秘密

黄色い部屋の秘密

ガストン・ルルー作の推理小説『黄色い部屋の秘密』は、1907年に発表された密室ミステリーの傑作です。原題は『Le Mystère de la chambre jaune』。密室トリックを扱った古典的作品として、今もなお多くの読者を魅了し続けています。

あらすじ

物語は、物理学の権威であるスタンガーソン博士の邸宅で起こります。その邸宅にある「黄色い部屋」から、博士の令嬢マチルダの悲鳴と銃声が響き渡ります。駆けつけた人々がドアを壊して部屋に突入すると、そこには血まみれのマチルダの姿がありました。しかし、犯人の姿はなく、部屋はほぼ密室状態。一体、犯人はどのようにして密室から姿を消したのでしょうか？

若き新聞記者ルールタビーユは、この不可能とも思える謎に果敢に挑みます。彼は、事件の真相を暴くことができるのでしょうか？

主な登場人物

ルールタビーユ
主人公。本名はジョセフ・ジョゼファン。18歳の若き新聞記者で、類まれなる推理力を持つ。
ジーン・サンクレール
ルールタビーユの友人である弁護士。彼の推理をサポートする。
スタンガースン博士
物理学の権威。「黄色い部屋」のある邸宅の所有者。
マチルダ・スタンガースン
博士の令嬢であり、事件の被害者。
ロベール・ダルサック
物理学教授。マチルダの婚約者。
ド・マルケ
予審判事。ルールタビーユの行動を警戒する。
マレーヌ
マルケの書記官。
フレデリック・ラルサン
パリ警視庁屈指の名刑事。ルールタビーユと推理で対立する。

提示される謎

物語の中では、以下の謎が提示されます。

密室であるはずの「黄色い部屋」で、マチルド嬢を襲った犯人はどのようにして出入りしたのか？
直角に曲がる廊下の2方向から追い詰められた不審者は、どのようにして曲がり角で姿を消したのか？

これらの謎を、ルールタビーユがどのように解き明かしていくのかが見どころです。

その他

作者のガストン・ルルーは、当初、主人公の名前を「ボワタビーユ」としていましたが、同名のジャーナリストからの抗議を受け、「ルールタビーユ」に変更したというエピソードがあります。

主な訳書

『密室の怪事件』久米元一訳、ポプラ社、ジュニア世界ミステリー・シリーズ、1968年（年少者向け）
『黄色い部屋の謎』平岡敦訳、創元推理文庫、2020年（新訳版）
* 『黄色い部屋の秘密』高野優監訳・竹若理衣訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、2015年（新訳版）

漫画化

1978年には、石森プロ 山田ゴロ作画で『黄色い部屋』としてコミカライズされました。

『黄色い部屋の秘密』は、複雑に絡み合った謎と、個性豊かな登場人物たちが織りなす人間ドラマが魅力の作品です。密室トリック、足跡、そして複雑な人間関係が絡み合い、読者を最後まで飽きさせません。古典ミステリーに興味がある方はもちろん、推理小説ファン必読の一冊と言えるでしょう。

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