黒の斜面

『黒の斜面』

概要

『黒の斜面』は、日本のサスペンス映画で、1971年に制作され、その後テレビドラマとしてもリメイクされた作品です。映画は松竹と俳優座の共同制作によるもので、非常に高い評価を受けています。映画とドラマ版の両方に共通するテーマは、失恋や再生、そして人間関係の複雑さであり、視聴者に深い印象を残しています。

あらすじ

物語の主人公は、ダイバ物産の営業係長である辻井喬です。彼は、失恋の痛手から自殺を考える女性、川上妙子を助けることから物語は始まります。二人は次第に情事に陥り、彼の生活に陰りを持ち込みます。しかし、仕事での昇進の噂が流れた際、辻井はこの関係を清算したいと感じるようになります。

ある日、辻井は会社の3000万円を持って大阪へ向かうために最終便の飛行機に搭乗する予定でしたが、妙子の誘惑に負けて出発を翌朝に延期します。予想に反して、その最終便は三河湾に墜落し、搭乗者は全員死亡することになります。この出来事をきっかけに、辻井の人生は一変します。

妻の圭子は、墜落現場近くの温泉に駆けつけますが、夫の遺体が見つからず、日々の捜索を続ける中で、夫の代わりに搭乗した男性の妻が現れ、圭子は夫が生きているのではないかという希望を抱くようになります。この状況が二人の関係や視点をどう変えていくのかが、本作の大きな見どころとなっています。

キャスト

映画版では、辻井喬役を演じたのは加藤剛、妻の圭子役は岩下志麻、川上妙子役は市原悦子が担当しています。その他にも、山名ひとみ役の山口果林や、谷口部長役の永井智雄など多くの個性豊かなキャストが揃っています。

テレビドラマ

『黒の斜面』は、複数回にわたってテレビドラマとしても放送されました。日本テレビ版は1971年に「オパールとサファイア」というタイトルで放送され、全6回のシリーズでした。このドラマは、映画と同じ原作を基にしており、参加したキャストも映画版から引き継がれた俳優が多くいました。特に市原悦子と滝田裕介の再共演が注目されました。

その後、1982年にはTBS版が放送され、さらに1989年にはフジテレビ版が制作されました。このように、各局ごとに異なるアプローチでこの物語が展開されており、それぞれに新たな解釈や魅力があります。

特に、2016年にテレビ朝日版が放送された際は、主演の檀れいによる独自のアイデアが取り入れられ、映画とは全く異なる結末を迎えました。これにより、同じ題材でも新しい視点を楽しむことができる作品とされています。

まとめ

『黒の斜面』は、失恋をきっかけに交錯する人間関係と、運命のいたずらによって展開されるサスペンスフルなストーリーが魅力の作品です。映画とテレビドラマ、それぞれの特性を生かしたバリエーションが多く存在し、日本のサスペンスジャンルにおいて特に重要な位置を占めています。

もう一度検索