黒の血族

黒の血族（くろのけつぞく）

玉川ユキ氏によって描かれた日本のサスペンス漫画作品です。コミックスマートが運営するウェブコミック配信サイト『GANMA!』において、2017年10月26日から2021年6月17日にかけて隔週木曜日に連載されました。作者自身が「明るく楽しい殺伐泥沼愛憎劇」と形容する、シリアスかつ独特のユーモアが混在する作風が特徴です。

作品世界と概要

物語の舞台は、日本の政治・経済・メディア・医療・警察といった社会の根幹を、その裏から支配する「闇の五家」と呼ばれる存在です。中でも中心となるのは、政界に絶大な影響力を持つ黒洞家。この黒洞家を巡る、一族内での激しい権力闘争や、複雑な人間関係、そして血縁者たちの間に渦巻く泥沼のような愛憎劇が主軸に据えられています。

あらすじ

本作の主人公、久世伊織は、長らく疎遠だった生みの母・黒洞薊の葬儀に参列したことを契機に、N県の山奥にある黒洞家の本拠地を初めて訪れます。そこで彼は、自身の生家が日本の政府を陰から支えてきた「闇の一族」であるという驚愕の事実を知ることになります。

さらに、黒洞家の屋敷に人質として囚われている、内閣総理大臣の孫娘である梅宮黒姫の存在を知った伊織は、図らずも黒洞家の次期当主の座を巡る激しい争い、そして黒姫を含む梅宮姉妹とその周辺にまつわる根深い因縁の泥沼へと巻き込まれていくのです。

黒姫の安全を守り、彼女を黒洞家から解放するため、伊織は自らが当主を目指すことを決意します。

主要な登場人物

久世伊織（くぜ いおり）

本作の語り部であり主人公。黒洞家総本家の血を引く15歳の少年です。母親である黒洞薊とは生前交流がなく、彼女の葬儀を機に初めて一族の本拠地を訪れます。心優しく、誰も分け隔てなく救おうとしますが、それは過去の出来事から「人を助けて喜べる人間であること」を確かめたいという内面的な理由も抱えています。非常に稀少な血液型「Rh-null」の持ち主です。

梅宮黒姫（うめみや くろひめ）

物語のヒロインを務める17歳の少女。日本の首相である梅宮直の孫娘にあたります。10年前に妹との人質交換により、黒洞家で囚われの生活を送っています。黒洞家の権力闘争や梅宮家との複雑な因縁の中心に位置する人物です。

黒洞家の一族

• - 黒洞棗（こくとう なつめ）: 伊織の伯母。亡き兄の仇として薊を深く憎み、その息子である伊織にも敵意を向けます。黒洞家本家（籠森家）の黒洞鷹仁が率いる派閥を実質的に取り仕切っています。
• - 黒洞功徳（こくとう くどく）: 黒洞家総本家の養子で、伊織の養叔父にあたります。元は黒洞家の人質でしたが、一族の混乱に乗じてその中枢に入り込みました。次期当主候補の一人であり、政治交渉に長けていますが、養子ゆえの弱みを抱えています。伊織とは対立する立場でありながら、時に助力することも。
• - 黒洞鷹仁（こくとう たかひと）: 黒洞家本家（籠森家）の長男。争いを好まない性格ですが、派閥によって次期当主候補に擁立されます。
• - 黒洞燕（こくとう つばめ）: 黒洞家本家（籠森家）出身で、功徳の秘書を務めています。過去の出来事から功徳に深い好意を寄せており、伊織を黒洞家へ招いた張本人でもあります。

黒洞家は、総本家（華菱）、本家（籠森、伊吹）、分家（因幡）といった系統に分かれており、それぞれの家系間で差別構造が存在しています。

闇の五家

日本社会を陰から支配する五つの巨大な家系を指します。

1. 黒洞家: 政治を掌握。
2. 白帝家: 医療を指揮。
3. 珠場家: メディアを統べる。
4. 鐘蔵家: 経済を動かす。
5. 清涼院家: 警察を率いる。

これらの家系は互いに協力したり対立したりしながら、日本の裏側で暗躍しています。

まとめ

『黒の血族』は、複雑に絡み合う血縁と権力、そして愛憎が織りなす、予測不能な展開と魅力的なキャラクターたちによって構築された壮絶な人間ドラマです。現代社会の裏側に潜む「闇」の世界を描き出しています。

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