黒人差別をなくす会

黒人差別をなくす会：活動と影響

1988年、大阪府堺市を拠点に発足した「黒人差別をなくす会」は、人種差別撤廃を目的とした私設団体です。小学校4年生の有田太氏の発案で、両親とともに活動を開始。当初は家族3名のみでしたが、会員数を増やし、多岐にわたる活動を行いました。

発足の経緯

発足のきっかけは、アメリカ合衆国の新聞記事に掲載された、日本製の黒人をモチーフとしたキャラクター人形やマネキンに対する批判でした。有田一家は、これらの商品が差別的な表現を含むと判断。その後、黒人に関する表現を検証する中で、団体設立へと至ったのです。

主な活動内容

同会の活動の中心は、黒人差別表現を含むと判断したキャラクター、漫画、アニメーション、書籍、企業などに対し、抗議を行うことでした。その活動は多大な影響を与え、多くの作品や商品に修正や回収といった対応を迫ることになりました。

代表的な例として、絵本『ちびくろサンボ』の一時絶版、カルピス食品のシンボルマーク変更、タカラのダッコちゃんマーク使用中止、手塚プロダクションの漫画全集の一時出版停止、『オバケのQ太郎』の一部回収・絶版などがあります。他にも多くの漫画作品や出版物に対し、表現の修正や回収を求める抗議活動を行い、その影響は出版業界全体に及びました。

さらに、同会は、沖縄県の観光土産の人形や、「くろんぼ公園」の名称変更などにも関与しています。これらの活動は、アメリカでも報道され、黒人差別撤廃論者から称賛されました。

批判と評価

同会の活動は、肯定的な評価だけでなく、批判的な意見も多く存在します。特に「表現の自由」の侵害を懸念する声や、黒人の存在自体が作品から排除されることに対する懸念が挙げられます。

「顔が真っ黒で唇が分厚い」というステレオタイプの黒人表現はタブー化され、出版社やクリエイターは自主規制を強化しました。結果として、黒人を描くこと自体が困難になり、商業作品における黒人の存在が希薄化されたという指摘があります。また、抗議によって過去の作品が封印されたことにも批判が集まっています。

まとめ

「黒人差別をなくす会」は、日本の社会に大きな影響を与えた団体です。人種差別撤廃という重要な目標を掲げ、多くの成果を残しましたが、その活動方法や結果については、現在も様々な議論が続いています。同会の活動は、表現の自由、人種差別、自主規制など、複雑に絡み合った問題を私たちに突きつけ、改めて考えるきっかけを与えてくれます。彼らの活動は、現代においても、人種差別問題を考える上で重要な事例となっています。 表現の自由と人種差別の問題、そして自主規制の在り方など、現代社会においても重要な論点として議論を呼ぶ、複雑な問題提起を行ったと言えるでしょう。

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