黒内障

黒内障とは

黒内障は、眼球そのものには器質的な異常が見られないにもかかわらず、高度な視力障害や失明を引き起こす状態の総称です。先天的なものと後天的なものがあり、その原因は様々です。

先天性黒内障

代表的な先天性黒内障として、レーバー先天性黒内障が挙げられます。

レーバー先天性黒内障

レーバー先天性黒内障は、ドイツの眼科医テオドール・レーバーによって報告された先天性の視力障害です。レーベル先天性黒内障と表記されることもあります。

レーバー先天性黒内障の患者に対して網膜電位図検査を行うと、網膜における視細胞の活動がほとんど確認できません。これは、視細胞の機能不全が原因であることを示唆しています。

原因遺伝子は複数存在し、様々な遺伝子異常によって発症することが知られています。遺伝子検査によって原因を特定できる場合があります。

また、レーバー先天性黒内障の患者の中には、白内障などの他の眼疾患を合併している症例も見られます。

後天性黒内障

後天性黒内障は、様々な要因によって引き起こされます。その一例として、一過性の黒内障があります。

一過性の黒内障

例えば、頸動脈に動脈硬化による血管の狭窄が生じると、一過性の黒内障が起こる可能性があります。狭窄部に形成された血栓が血流に乗って網膜動脈を塞栓し、網膜への血流が一時的に途絶えることで、黒内障が発生すると考えられています。

その後、血栓が溶解して網膜への血流が再開すると、視機能は回復し、黒内障は一時的なものとして終わることが一般的です。しかし、血流途絶の時間が長い場合や、繰り返して同様の事態が起こる場合には、永続的な視力障害が残る可能性もあります。

黒内障の原因となりうるその他の要因

上記以外にも、黒内障を引き起こす可能性のある要因は多岐にわたります。緑内障、網膜色素変性症、視神経疾患、脳腫瘍などが原因となることもあります。また、原因不明の黒内障も存在します。

黒内障の診断と治療

黒内障の診断には、詳細な眼科検査が必要です。視力検査、視野検査、眼底検査、網膜電位図検査などが行われます。原因を特定するためには、血液検査や画像検査が必要となる場合もあります。

治療法は、原因によって異なります。レーバー先天性黒内障に対する根本的な治療法はまだ確立されていませんが、遺伝子治療の研究が進められています。後天性黒内障の場合は、原因疾患の治療が重要となります。

黒内障と生活

黒内障によって視機能が低下すると、日常生活に様々な支障が生じます。視覚補助具の利用や、リハビリテーションによって、残された視機能を最大限に活用することが重要です。また、周囲の理解とサポートも、患者のQOL（生活の質）を向上させる上で不可欠です。

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