黒尾重明

黒尾 重明（くろお しげあき）

黒尾重明は、1926年7月20日に東京都麻布で生まれ、1974年10月17日に逝去した昭和中期のプロ野球選手です。彼は主に投手としてプレーし、特に速球派として知られていました。プロ野球界での彼の活躍は、当時のファンに強い印象を残しました。

来歴と経歴

黒尾は、東町小学校で作家の山口瞳と同級生だったことから、若い頃から特異な才能を持っていました。東京都立化学工業学校では、その速球を武器にし、注目される投手として名を馳せました。しかし、彼は兵役にも就き、終戦間際には特別攻撃隊の一員として宮崎市の陸軍航空基地に配属されていました。

1945年11月、黒尾はセネタースの入団テストを受け、31人の応募者の中から唯一合格しました。入団後、彼は白木義一郎とともにエースとして活躍し、プロ野球の舞台で大きな影響を与えることになります。

セネタースでの活躍は目覚ましく、特に1949年まで続く彼の期間中において、重要な役割を果たしました。しかし、1950年にセ・パ両リーグが分立し、新たに結成された近鉄パールスに移籍。その年、黒尾は開幕投手を担い、12勝21敗、防御率3.34という成績を残しました。しかし、肩の痛みが彼のプレーに影響を及ぼし始め、1951年と1952年の成績は低迷してしまいます。

1953年には復活を遂げ、14勝11敗、防御率2.02の成績でリーグでの存在感を再び示しました。しかし、1954年以降は再び肩の問題に悩まされ、最終年の1955年には通算100勝にあと一歩のところで勝利を挙げられず、同年に現役を引退しました。

引退後の活動

引退後、黒尾は報知新聞で記者として活動し、その後は運動具店を経営しました。また、有馬頼義からの依頼を受け、成蹊大学野球部の監督を務めたこともあります。彼は晩年にはデパートで既製服を販売する仕事に就いていましたが、1974年に肝臓癌により48歳での早すぎる死を迎えました。

選手としての特徴

黒尾はセネタース時代、彼のユーモラスな同僚である白木義一郎とは対照的に、小柄ながら真摯に速球を投げる姿が印象的で、多くの女性ファンの支持を集めました。速球だけでなく、ドロップも彼の大きな武器でした。1954年の報知新聞の記事には、彼がナックルボールやスローカーブを操っていたことが記された瞬間もあり、速球派としての姿勢から徐々に変化していったことが示されています。

選手成績

セネタース時代の彼は、背番号8、15、そして近鉄パールスでは18を着用していました。選手としての彼の成績は波乱万丈でしたが、彼がもたらした影響と記憶は、今でも多くの野球ファンに引き継がれています。

黒尾重明の人生は、戦後の日本におけるプロ野球の歴史の一部として、今なお語られ続けているのです。

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