黒島神社 (姶良市)

黒島神社の歴史と伝説

鹿児島県姶良市上名に鎮座する黒島神社は、古くから地域の人々に崇敬されてきた神社です。この神社は、多祇留姫、多祇津姫、大名持命、応神天皇、そして神功皇后という、多くの神々を祀っています。

創建と変遷

神社の記録によれば、黒島神社の創建は和銅元年（708年）2月29日とされています。しかし、この日付には干支の誤りが指摘されており、正確な創建時期は定かではありません。伝承によると、福岡県の志賀島から移住してきた鈴木三郎政氏、四郎政良兄弟のうち、弟の四郎政良が山田地区（現在の姶良市上名・下名地区）を開拓した際に、この神社を創建したとされています。

創建当初、社殿は山頂に建てられ、山麓には拝殿が設けられていました。社殿と拝殿の間には木製の橋が架けられていましたが、この橋は女性が渡ることを禁じられていたと言います。しかし、宝永6年（1709年）6月1日に発生した山津波によって社殿は壊滅的な被害を受け、その後、山腹付近に再建されました。現在、神社には享保3年（1718年）に寄進された石灯籠と、天明4年（1784年）6月25日に完成した石橋が残されており、この石橋は市の指定文化財となっています。また、文化11年（1814年）には供養塔も建立されました。

明治時代初期には、女胎師神社、飛野妙見、石堂妙見が合祀され、大正2年（1913年）4月5日には現在地に社殿が移されました。現在の社殿は、この時に建てられたものです。

宝物の流転

黒島神社には、かつて四振の刀剣と一領の鎧が宝物として保管されていました。しかし、刀剣は盗難に遭い、鎧は破損が激しかったため、昭和43年（1968年）に50万円で売却され、売却益は神社の基金に組み入れられました。

黒島神社の伝説

この神社には、地域に伝わる興味深い伝説があります。姶良市中津野に位置する老神（おいかみ）神社の神様と黒島神社の神様の間で、住吉池の所有権を巡る争いが起こったという話です。住吉池への到達競争によって所有権を決めることになり、老神神社の神様は牛に乗り、黒島神社の神様は馬に乗って競争しました。池に近い老神神社の神様が、遅い牛に乗っているだろうと油断した黒島神社の神様は、ゆっくりと競争に臨みましたが、結果として敗れてしまい、住吉池は老神神社の所有となりました。怒った黒島神社の神様は、帰路で乗ってきた馬を蹴り飛ばし、その馬が飛んで落ちた場所が、現在の豊留にある早馬（はやま）神社の場所であると伝えられています。

文化財と参考文献

黒島神社に残る石橋は、姶良市の指定文化財に登録されており、その歴史的な価値を今に伝えています。この神社の歴史や伝説は、『姶良町郷土誌』に詳しく記載されています。

外部リンク

鹿児島県内の石橋データ 黒島神社橋

黒島神社は、地域の歴史と文化を今に伝える貴重な存在です。訪れる人々は、この神社の歴史と伝説に触れ、いにしえのロマンを感じることができるでしょう。

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