黒川 (富山県)

黒川（くろかわ）

黒川は、富山県富山市を流れる神通川水系に属する河川であり、熊野川の主要な支流の一つです。その総延長は約7.85キロメートルに及びます。

流路と地形

この川は、神通川水系の別の支流である長棟川との分水嶺を形成する桧峠付近に源を発しています。源流から北へと向かい流れを下る中で、中流域では比較的小規模ながらも谷底平野を形成しています。この谷底平野の両岸には、地滑りによって生じた独特の地形が点在しており、この地域の地質的な特徴を物語っています。下流域に至ると、黒川は主要な支流の一つである楜ヶ原川（くるみがはらがわ）を合流させます。その後、川は富山平野へと開けた扇状地に近い地形を流れ、まもなく本流である熊野川に合流し、その流れを合わせています。

地質的特徴

黒川の沿川地域を地質学的に見ると、主に猪谷層と呼ばれる地層が広く分布しています。この地層の堆積構造や組成を分析することによって、かつてこの地域が氾濫原を伴う砂質の河川環境であったことが示唆されています。また、この地層からは、当時の河川において、おそらく自然堤防の決壊などによって引き起こされた微細な水路が数多く発達していた様子が読み取れます。これは、黒川を含むこの地域の地質形成史を理解する上で重要な手がかりとなります。

生態系と環境保全

黒川の清らかな流れには、アユやイワナといった様々な淡水魚が生息しており、豊かな水辺の生態系を育んでいます。しかしながら、過去には環境面での課題も発生していました。特に、産卵期に河川を遡上するサクラマスが、人工構造物である砂防堤防や、残念ながら投棄されたゴミなどによって、その遡上が阻害される状況が確認された時期がありました。こうした状況に対し、地域の環境保護に関心を寄せるボランティア団体が立ち上がりました。彼らは定期的な河川清掃活動を実施し、川に捨てられたゴミを回収することで水質や景観の改善に努めています。さらに、魚類の遡上を少しでも助けるため、地域住民の手によって工夫を凝らした手作り魚道が整備されるなど、川の生態系を守るための継続的な取り組みが行われています。

沿川の集落

黒川の流れに沿って、古くから集落が営まれてきました。下流側から順に見ていくと、東福沢を皮切りに、牧野、大山布目、日尾、馬瀬、瀬戸、石渕、下双嶺、折谷、小坂、大清水といった集落が点在しています。これらの集落のうち、東福沢を除いた多くは山間部に位置する山村です。日本の高度経済成長期以降、こうした山村地域では、他の多くの地域と同様に、若年層の流出や高齢化といった要因により過疎化が進行するという社会的な課題に直面しています。しかし、それぞれの集落では、地域の伝統や文化を守りながら、生活が営まれています。

主な支流

黒川に合流する主な支流としては、前述の楜ヶ原川（くるみがはらがわ）や小佐波川（おざなみがわ）などが挙げられます。

沿川の観光スポット

黒川流域には、地域の歴史や文化を感じさせるスポットも存在します。その一つとして東薬寺が知られています。

（参考文献：富山大百科事典（北日本新聞）ほか）
（関連項目：神通川）

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