神通川

神通川について

神通川（じんつうがわ）は、岐阜県と富山県を流れる重要な一級河川で、1969年4月1日に指定されました。神通川水系の主流の一つであり、その上流部は宮川と呼ばれています。富山県の七大河川の一つとしても知られており、急流と穏やかな流れを併せ持つ独特な河川です。

地理的特徴

神通川の源流は岐阜県高山市の川上岳近くにあります。川は高山盆地や古川盆地を通って北へと流れ、様々な支流と合流しつつ富山県に入ります。富山県内では、猪谷付近で高原川と合流し、その後神通川と名前を変えます。河岸段丘と呼ばれる地形が下流域に見られ、神一ダム、神二ダム、神三ダムが建設されています。さらに、大沢野地域では常願寺川との合流扇状地が形成され、富山平野へと流れていきます。最終的に、神通川は富山湾に注ぎ込んでいます。この流域には、有名な「神通川河口鳥獣保護区」が設けられており、多様な動植物が生息しています。

流域自治体と支流

神通川の流域には岐阜県の高山市や飛騨市、富山県の富山市、南砺市が含まれます。支流にはいたち川や松川、井田川、熊野川などがあり、これらもそれぞれ重要な河川です。流域は山地が広がっており、自然環境が豊かで、多くの生物が生息しています。

自然環境と気候

神通川下流域、特に富山市では年降水量が約2,200mmと高く、特に夏季に降水量が増加します。この地域は日本海側気候に属し、冬季の寒さが厳しいですが、上流部は内陸性気候で夏は降水量が多く、気温が低めです。河川周辺には様々な植生が見られ、特に上流地域にはミズナラやブナが豊富です。この地域には絶滅危惧種も見られる貴重な環境が広がっています。

地下資源とその影響

神通川の流域には、亜鉛・鉛・銀鉱山である神岡鉱山があります。これにより形成された鉱山町は、奈良時代にまでその歴史が遡ります。しかし、2001年には採掘が終了しました。この影響により環境問題も生じました。特にイタイイタイ病は、廃液中のカドミウムによる公害問題として広く知られています。

歴史的背景

神通川は先史時代から重要な水路として機能しており、『万葉集』にもその名前が見られます。平安時代には、神通川のサケが都への献上品として扱われていました。さらに、戦国時代に富山城の天然の堀として利用され、河道の変更が行われたのもこの川の影響です。近代に入ると、河川改修事業が行われ、2001年には新たに河川の整備が行われました。

公害問題と文化

神通川周辺では、イタイイタイ病と呼ばれる公害病が問題になったことがあり、カドミウムが原因とされています。この事例は環境問題の重要性を再認識させるものでした。また、神通川に関連する文化作品も多く、新田次郎の『神通川』などがその一例です。

交通とアクセス

神通川には多くの橋がかかっており、交通の要所とされています。鉄道や道路が整備され、広域的な交通手段が利用可能です。さらに、富岩運河や周辺の観光地へのアクセスも便利で、観光スポットとしても人気があります。

神通川はその自然、歴史、文化が交錯する貴重な河川であり、多くの人々に愛されています。

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