黒手組

黒手組（ツルナ・ルカ）

黒手組（セルビア語: Црна рука, ツルナ・ルカ）は、20世紀初頭にセルビアで結成された秘密組織であり、テロ組織としての側面も持っていました。「黒い手」や「ブラックハンド」とも呼ばれます。正式名称は「統一か死か（Уједињење или смрт, ウイェディニェニェ・イリ・スムルト）」です。

概要

黒手組は、セルビア民族主義を掲げ、特にオーストリア・ハンガリー帝国領であったボスニア・ヘルツェゴビナを含む、すべてのセルビア人居住地域の統合を目指していました。

組織の内部は、セルビア民族主義という共通の理念で結ばれていましたが、その構成員は一枚岩ではありませんでした。組織は、上司1人と部下2人からなるピラミッド型の階層構造を持ち、各メンバーは直属の上司と部下以外とは連絡を取ることができない仕組みでした。そのため、組織内には、クーデターを画策する陸軍将校、理想に燃える学生、さらには共和制を支持する者まで、様々な思想を持つ人々が存在していました。指導者は、1903年のクーデターでセルビア国王アレクサンダル・オブレノヴィチを殺害したドラグーティン・ディミトリエヴィチ（暗号名「アピス」）でした。

黒手組は、1914年にサラエヴォで発生したオーストリア皇太子フランツ・フェルディナント大公暗殺事件（サラエヴォ事件）に深く関与しました。この事件は、第一次世界大戦の直接的な引き金となりました。

サラエヴォ事件後、オーストリア・ハンガリー帝国はセルビア王国に宣戦布告し、第一次世界大戦が勃発しました。セルビアは当初、ニコラ・パシッチ首相の下で抵抗を続けましたが、最終的には敗北し、政府はギリシャのコルフ島とテッサロニキに亡命しました。パシッチ首相は、黒手組を戦争の元凶とみなし、1916年に組織を解散させ、アピスをはじめとする指導者たちを反逆罪で逮捕しました。1917年、アピスと同志6名は銃殺刑に処されました。

関連項目

サラエヴォ事件
大セルビア
青年ボスニア (Mlada Bosna)
Narodna Odbrana

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