黒木じゅん

黒木じゅん（くろき じゅん）は、本名を唐木 政宜（からき まさよし）といい、1966年4月13日に東京都で生まれた、日本の演歌およびムード歌謡を専門とする歌手である。彼は、昭和の歌謡界で「霧にむせぶ夜」などのヒット曲により広く知られる歌手、黒木憲氏を父に持つ。

彼のキャリアは、1991年5月21日に「唐木淳（からき じゅん）」の芸名で、ビクターエンタテインメントからシングル「やっぱ惚れちゃった」で幕を開けた。デビュー直後からその才能は高く評価され、同年開催された数々の主要な音楽賞において新人賞を総なめにした。特に、第33回日本レコード大賞の歌謡曲・演歌部門で最優秀新人賞を受賞するなど、合計13タイトルもの新人賞を獲得するという、異例ともいえる輝かしいスタートを切った。

その後、「唐木淳」として活動を続けた彼は、キャリアの大きな転換期を迎える。2008年2月1日付けで、所属レコード会社をEMIミュージック・ジャパンに移籍すると同時に、亡き父である黒木憲氏の名跡を襲名し、「黒木憲ジュニア」へと芸名を改めたのだ。この改名には、父への敬意と、父の歌を歌い継ぎ、自身の音楽をさらに深めていくという強い決意が込められていた。

さらに、2016年5月には、テイチクエンタテインメントへの移籍を機に、三度目の改名を行い、現在の「黒木じゅん」となった。この新しい芸名は、父・黒木憲氏の恩師でもあり、彼自身も師事することとなった著名な作曲家、鈴木淳氏から一字をいただいたものである。師への感謝と敬意を込めたこの改名を経て、新たな気持ちで音楽活動を展開している。2021年には、歌手デビューから30周年という節目を迎え、記念シングル「離れても」をリリースするなど、現在も精力的に活動を続けている。

私生活においては、2009年10月10日10時10分に、フリーアナウンサーの中尾美穂氏と結婚したことが知られている。

黒木じゅん氏は、歌手としての活動の傍ら、多岐にわたる趣味を持つ人物としても知られている。バイクツーリングやドライブといった活動的なものから、ゴルフ、旅行、温泉、グルメといった趣味、さらには格闘技・スポーツ観戦、音楽・映画鑑賞、写真、パソコンなど、その関心は非常に幅広い。また、表現者としての幅広さを見せているのが、俳優としての活動経験である。1995年から1996年にかけて放送されたテレビ朝日系列の連続刑事ドラマ「風の刑事・東京発!」には刑事役でレギュラー出演しており、さらに1996年には東映Vシネマ「ワル外伝」にも出演するなど、テレビドラマやVシネマの世界でもその姿を見せている。

彼のディスコグラフィは、改名遍歴に伴い、「唐木淳」名義（1991年〜2002年、主にビクター）、「黒木憲ジュニア」名義（2008年〜2015年、EMIミュージック、エスプロレコーズなど）、「黒木じゅん」名義（2016年〜、テイチク）の各時期に多数のシングルやアルバムが発表されている。また、一条聖矢、赤井銀次、木戸たつよしらとともに「男D's ダンディーズ」という企画ユニットで活動したこともある。キャリア初期に多数の新人賞を受賞した実績は、彼の歌唱力と表現力がデビュー当時から非常に高いレベルにあったことを証明している。

黒木じゅん氏は、偉大な父の影を追いながらも、三度の改名を経て自己を確立し、演歌・ムード歌謡の世界で確固たる地位を築いてきた。多才な趣味や俳優経験も持ち合わせ、人間的な魅力も兼ね備えた彼の今後の活動からも目が離せない。

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