黒歯国

黒歯国（こくしこく）とは

黒歯国とは、古代中国の文献に登場する、歯が黒い人々が住むと伝えられる伝説上の国です。その記述は、『淮南子』、『山海経』、『文選』、『三国志』、『後[[漢書]]』、『梁書』などの様々な書籍に見られ、東方の遠い海上に存在するとされていました。特に『三国志』の魏志倭人伝では、倭国の東南に位置する国として言及されているため、実在の国とする説も存在します。

各文献における記述

『淮南子』
黒歯国の人は歯が黒く、稲を食べ、蛇を食らうとされています。また、湯谷の近くにあると記述されています。
「東は黒歯に着く」という記述から、東の果てにある国として認識されていたことがわかります。
『山海経』
黒歯国は北方にあり、そこの人々は黒い歯を持ち、稲と蛇を食らうとされています。また、黒歯国の北方には扶桑という木があるとも記述されています。
別箇所では、黒歯国は俊帝の子孫で姜姓であり、黍を食べ、四鳥を使うとも記述されています。
『源氏物語』の注にも「歯黒 山海経云東海有黒歯国其俗婦人歯志黒染」と引用されています。
『文選』
船乗りが、南東の果てにある黒歯国を目指して航海する様子が描かれています。
『三国志』魏志倭人伝
裸国と共に黒歯国が記述されており、倭国の東南に船で一年ほどかかる場所に位置するとされています。
『後[[漢書]]』倭傳
女王国から南に4000余里の小人国から、さらに東南に船で一年かかると黒歯国に到着すると記述されています。
『梁書』
倭国の南4000余里に小人国があり、その南に黒歯国があるとされています。倭国から船で一年かかる場所に位置するとされています。
『路史』
黒歯氏は姜姓であり、『山海経』によると、黒歯国は帝俊の末裔であるとされています。

黒歯国の実在性

黒歯国が単なる伝説上の国なのか、それとも実在の国を反映したものなのかについては、様々な議論があります。特に『三国志』の魏志倭人伝に記述されていることから、実在説を唱える研究者も少なくありません。また、韓国では黒歯常之との関連性を指摘する説も存在します。

インドネシアとの関連性

黒歯国の人々が歯を黒く染める習慣を持つという点から、インドネシアとの関連性を指摘する研究者もいます。インドネシアには、ベテルチューイング（キンマ）という檳榔樹と石灰を混ぜたものを噛む習慣があり、その際に歯が黒く染まることがあります。この習慣と黒歯国の記述が結びつけられています。また、『三国志』の記述にある水路の行程や地理からも、インドネシアとの関連性が示唆されています。

まとめ

黒歯国は、古代中国の文献に登場する伝説上の国ですが、その記述には興味深い要素が数多く含まれています。特に、歯を黒く染める習慣や、東南の海上という位置関係は、実在の文化や地理を反映している可能性も示唆しています。今後、さらなる研究が進むことで、黒歯国の謎が解き明かされるかもしれません。

関連項目

黒歯人
お[[歯黒]]
扶桑、扶桑国

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