黒歯常之

黒歯常之の生涯

黒歯常之（こくし じょうし）は、百済と唐の将軍として知られ、その生涯は数々の戦いと策略に満ちていました。彼は百済の将軍として名を馳せ、百済滅亡後に唐に仕官し、特に対突厥戦においてその才能を発揮しました。

百済の将軍として

黒歯常之は、百済の達率（二品官）兼風達郡将でありました。660年、百済の義慈王が唐に降伏し、国が滅ぶと、彼は唐の蘇定方将軍に従い降伏しました。しかし、降伏後の唐軍による暴走を目の当たりにし、百済の旧兵たちを集め任存山城で反旗を翻すことを決意しました。彼のもとには瞬く間に3万の旧軍兵士が集まりました。

唐の蘇定方は、彼の動きを警戒し部隊を送り任存城を包囲しますが、黒歯常之は精鋭の部隊を用いて唐軍に奇襲を仕掛け、大勝を収めました。それにより彼は逃げる唐軍を追撃し、多くの城を奪還しました。しかし、蘇定方は戦闘の中で徐々に軍紀を立て直し、黒歯の軍が奪還した城を再び攻略していきました。

彼は別の将軍、扶余福信と共に抵抗を続け、さらに百済復興を目指すべく倭国に人質として送られていた百済王子扶余豊を呼び寄せます。倭国から派遣された軍も参加しましたが、扶余豊自身は王としての器量に欠け、復興運動の指導者としての役割を果たすことができませんでした。その混乱の中で、扶余豊と扶余福信間に不和が生じ、最終的に復興運動は失敗に終わりました。

唐の将軍として

663年、黒歯常之は唐軍に投降し、その軍事的才能が評価され将軍として再起を果たしました。678年には、吐蕃討伐に参加し、戦場でその指揮能力を発揮します。彼は幾度となく敵軍を撃退し、特に夜襲を得意とし、多くの戦果を上げました。その功績により多くの栄誉を手にし、燕国公の爵位を賜りました。

743年、武則天の即位後、黒歯常之は政変に巻き込まれ、いくつかの軍事的失敗の責任を問われ免官されます。681年には東突厥に対する戦いで大勝を収めますが、最終的には謀反の疑いをかけられ獄に繋がれ、689年に獄中で命を落とすことになります。その後、彼の息子、黒歯俊が権力者の下で成功を収めたことをきっかけに、冤罪が晴れ名誉を回復されました。

家族

黒歯常之には、長男黒歯俊がいたほか、女婿には勿部珣が存在しました。彼らは黒歯と常之の名を継ぎ、彼の遺産を受け継ぐ存在となりました。

黒歯常之の生涯は、百済の悲劇と唐での栄光を象徴したものであり、彼の功績は後世に渡り語り継がれています。

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