黒瀬城

黒瀬城は、愛媛県西予市にあった山城で、標高350mの黒瀬山の山頂に築かれました。堀や曲輪などの防御施設が設けられ、支城としてとびがす城、我合城、岡城、護摩が森城、土居城などが存在しました。

築城の経緯については、『宇和旧記』と『言継卿記』という異なる記録が残っています。

宇和旧記: 西園寺実充が松葉城を放棄し、黒瀬城の築城を開始しましたが、完成前に死去。その後、西園寺公家の代に完成し、居城を移したとされています。
言継卿記: 実充が黒瀬城を完成させて移転し、「黒瀬殿」と称されたと記録されています。永禄8年（1565年）には上洛し、大徳寺で落髪したとも記されています。

黒瀬城は戦国時代、度重なる戦火に見舞われました。元亀3年（1572年）には大友氏の攻撃を受け、天正9年（1581年）には長宗我部氏によって城下町が焼き払われる被害を受けました。天正12年（1584年）には、城主であった西園寺公広が長宗我部元親に臣従しています。

天正13年（1585年）の四国攻めでは、公広は小早川隆景に降伏し、在城を許され、九州征伐にも参加しました。しかし、天正15年（1587年）に戸田勝隆が伊予に移封されると、公広は下城して願成寺に隠棲。同年12月1日（12月30日）に勝隆によって謀殺されました。その後、岩城少右衛門が城代として入城しました。

黒瀬城は、西園寺氏の居城として築かれ、戦国時代の激しい動乱の中で、その歴史を刻みました。築城の経緯や城主の変遷、周辺地域との関係など、様々な視点からその歴史を紐解くことができます。

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