西園寺公広

西園寺公広（さいおんじ きんひろ）

西園寺公広は、戦国時代から安土桃山時代にかけて伊予国を治めた武将であり、伊予西園寺氏の8代当主として知られています。黒瀬城を居城とし、西園寺十五将の一人にも数えられました。

生涯

天文6年（1537年）に西園寺公宣の子として生を受けた公広は、当初、伊予来住寺で僧侶としての生活を送っていました。しかし、弘治2年（1556年）に当主であった伯父・西園寺実充の跡継ぎである公高が戦死したため、事態は急変します。永禄8年（1565年）、公広は実充の養子として迎えられ還俗し、実充の娘である西姫の婿となり、西園寺家の家督を継承することとなりました。同年には、土佐国の一条兼定を攻めるなど、武将としての活動を開始しています。

永禄11年（1568年）には、毛利氏や河野氏と同盟を結び、一条兼定、宇都宮豊綱、津野氏らを攻め、鳥坂峠の戦いにおいて勝利を収めました。しかし、元亀3年（1572年）には、西園寺15将の一人である土居清良の仲介により、土佐一条氏の一条兼定との間で和睦が成立します。

天正12年（1584年）、長宗我部元親の激しい攻勢を受け、公広は降伏を余儀なくされました。さらに翌天正13年（1585年）には、四国平定を目指す豊臣秀吉の配下である小早川隆景にも降伏しました。降伏後、公広は居城である黒瀬城のみを保持することを許され、新たな領主となった隆景に従い、九州平定に配下として参加しました。

しかし、天正15年（1587年）、隆景の転封に伴い、新たに宇和の領主となった秀吉の家臣・戸田勝隆が検地を実施しようとした際、西園寺旧臣による一揆が発生。勝隆は公広がこの一揆を扇動しているのではないかと疑念を抱きます。「秀吉が本領を安堵した」という偽の朱印状を使って勝隆は公広を自邸に呼び出し、謀殺しました。享年51歳。公広には実子も養子もいなかったため、大名としての伊予西園寺氏はここに完全に滅亡することとなりました。

辞世の歌は「黒瀬山 峰の嵐に 散りにしと 他人には告げよ 宇和の里人」と伝えられています。

もう一度検索