黒田暲之助

黒田 暲之助

黒田 暲之助（くろだ しょうのすけ）氏は、1916年6月25日に生まれ、2009年12月23日にその生涯を閉じた、日本の実業界において重要な足跡を残した人物です。文具・オフィス家具の大手企業であるコクヨ株式会社の名誉会長を務め、同社の成長と発展に長きにわたり貢献しました。享年93歳でした。

生涯とキャリア

暲之助氏は、コクヨの創業者である黒田善太郎氏の次男として、大阪府大阪市に生を受けました。創業家の血筋を引く同氏は、後に自らも同社の経営を担うこととなります。弟には黒田靖之助氏がいます。また、現在コクヨの代表取締役会長を務める黒田章裕氏は実子にあたり、さらにその長女と結婚した小原流四世家元小原夏樹氏を娘婿に持ち、五世家元である小原宏貴氏を孫に持つなど、その血縁は日本の文化・実業界に広がっています。

慶應義塾高等部を卒業後、暲之助氏は1940年、父・善太郎氏が創業したコクヨの前身にあたる合名会社黒田国光堂に入社しました。戦時下の困難な時代を経て、戦後復興期に入った1949年には同社の副社長に就任。経営の中枢に加わります。

そして、高度経済成長期が始まったばかりの1960年1月、暲之助氏は代表取締役社長の座に就きました。この社長職を実に四半世紀、足かけ25年間にわたり務め上げます。この長期にわたる社長在任期間中に、コクヨは日本の経済成長と歩調を合わせるように事業を拡大し、企業としての基盤をより強固なものにしていきました。彼のリーダーシップのもと、時代の変化に対応しながら、オフィス用品市場における確固たる地位を築き上げたと言えるでしょう。

社長退任後、1985年12月からは代表取締役会長に就任。その後も2009年3月まで、24年以上にわたり同社の経営に深く関与し続けました。約半世紀にわたる長期間、常に経営の最前線あるいは中核を担ってきたそのキャリアは特筆に値します。創業者の理念を受け継ぎながらも、時代の流れを見極め、会社を導いていく手腕は多くの関係者から高く評価されました。

晩年は名誉会長として同社を見守りました。長年の功績により、実業界におけるその存在感は非常に大きなものでした。

死去

2009年12月23日、肺炎のため、93歳で逝去しました。彼の死は、日本のオフィス用品業界、そして実業界全体に大きな影響を与えました。

黒田暲之助氏は、創業者の子として会社に入り、長期にわたる経営者としてのキャリアを通じてコクヨを成長させた立役者です。その経営哲学やリーダーシップは、後進の経営者たちにとって貴重な範を示しました。

もう一度検索