小原流

小原流は、1895年（明治28年）に池坊の門弟であった小原雲心によって創始された、日本のいけばなの流派です。その始まりには諸説ありますが、小原流は雲心が盛花様式を考案した1895年を公式な起点としています。1910年（明治43年）には、大阪府立博物場での花会を機に『小原式国風盛花』を名乗り、事実上池坊から独立しました。

小原流が世に広く知られるようになったのは、1912年（大正元年/明治45年）に大阪の三越で開催された第1回小原式国風盛花展がきっかけでした。雲心が生み出した盛花は、口の広い水盤に剣山を用いて花を盛るように生けるという、それまでのいけばなの概念を覆すものでした。従来の線的な表現に加え、面を活かした多様な表現が可能となり、いけばなの世界に新たな風を吹き込みました。しかし、その斬新さから、当時の伝統的な華道界からは「雲心独流」や「雲心流」と揶揄され、床の間に盛花を生けることは「長襦袢で人前に出るようなもの」とまで酷評されることもありました。

それでも、雲心の盛花は、従来のいけばな界が受け入れなかった洋花を積極的に取り入れ、日本の洋風化した生活様式に適合し、大衆から急速に支持を集めました。1916年（大正5年）には、正式に小原流と名乗るようになります。

二世家元となった小原光雲は、デパートなどを会場に積極的に展覧会を開催し、一般大衆への小原流いけばなの浸透に尽力しました。また、伝統的な華道界では個人を対象とした伝授が主流であった中、集団教授方式を取り入れ、効率化を図りました。さらに、それまで男性が独占していた教授職を女性にも開放するなど、組織の近代化にも大きく貢献しました。商才にも長けていた光雲は、「いけばなはソロバンなり」という名言を残しています。

現在、小原流は一般財団法人として組織され、日本全国に144の支部、海外に100以上の支部を有するまでに発展しています。その活動は、いけばなにとどまらず、広く日本の文化芸術の発展に貢献しています。

歴代家元
初代 - 小原雲心（1895年又は1912年～1916年）
二世 - 小原光雲（1916年～1938年）
三世 - 小原豊雲（1938年～1995年）
四世 - 小原夏樹（1995年、追贈）
五世 - 小原宏貴（1995年～）

関連施設
豊雲記念館：小原豊雲の功績を記念した施設。旧小原流芸術参考館。

関連人物
小原規容子：四世家元夫人、一般財団法人小原流代表（理事長）。
小原稚子：三世家元長女、小原流最高顧問。四世家元他界後、2010年まで家元代行を務めた。2023年没。
小原（長瀬）紗容子：四世家元長女、一般財団法人小原流理事。

関連項目
盛花：小原流の代表的な様式。
いけばな（華道）
骨董通り：小原流会館が所在する東京南青山5丁目の通り。
日本いけばな芸術協会

外部リンク
いけばな小原流公式サイト
いけばな小原流公式instagram
いけばな小原流公式facebook
いけばな小原流公式twitter
OHARARYU VIDEO - YouTube
小原宏貴公式instagram
[[日本大百科全書]「小原流」の解説](https://kotobank.jp/word/%E5%B0%8F%E5%8E%9F%E6%B5%81-161409)

小原流は、その革新的な精神と大衆への開放性によって、日本のいけばな界に大きな影響を与え続けています。

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