黒田清

黒田 清（くろだ きよし）

黒田 清（1931年2月15日 - 2000年7月23日）は、日本の元ジャーナリストであり、読売新聞の記者として広く知られています。彼は、大阪府大阪市北区天満に生まれ、製粉工場を経営する家に9人兄弟の末っ子として育ちました。経済学を学んだ京都大学を卒業後、1952年に大阪読売新聞社に新卒として入社し、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせました。

来歴

彼はまず遊軍記者として仕事を始め、徐々に社会部門にシフトしていきました。1976年には社会部の部長に就任し、以降黒田軍団と呼ばれる一団を率いて、様々な事件に関する報道を行いました。この黒田軍団は、東京都と大阪におけるフリージャーナリズムの新たな形を象徴する存在となりました。特に1984年には、大阪府警賭博ゲーム機汚職事件を独自の視点で追ったルポ「警官汚職」で、日本ノンフィクション賞を受賞しています。

黒田の報道スタンスは、東京の読売新聞が保守的・右派的な論調を持つ一方で、大阪の読売新聞では反権力・反差別という革新・左派的な視点が顕著でした。しかし、この姿勢が次第に社内での孤立を招き、1984年には編集局次長として閑職に異動させられます。その後、1987年に読売新聞を退社しました。

退社後はフリージャーナリストとして活動を開始し、「黒田ジャーナル」を主宰しました。また、ミニコミ紙「窓友新聞」を発行したり、テレビやラジオのコメンテーター、コラムニストとしても広く知られるようになりました。1997年には膵臓ガンが見つかり、手術を受けましたが、翌年から再び活動を再開しました。

健康状態と死

黒田は2000年初頭に肝臓へのがん転移が発覚し、同年7月23日に亡くなりました。葬儀には1300人以上の参列者が訪れ、多くの人々に惜しまれました。彼の死は、新聞業界における影響力や存在の重要性を再評価させるきっかけとなりました。

人物と影響

黒田清が「黒田軍団」という名で知られるようになったのは、1979年の三菱銀行人質事件の報道において、取材記者の活動を記録したことが背景にあります。これにより、「自分たちの動きを書け」というメッセージが与えられ、新たな報道形式として注目を集めました。

彼の著書は、数多くの著作があり、特に新聞記者の生き様を描いたものや、取材技術に関する書籍が多数存在します。また、多くの黒田の教えを受けた後進たちは、今もなお彼の理念を引き継ぎ、ジャーナリズムの世界で活動しています。

黒田の逝去後、彼の名を冠した「黒田清JCJ新人賞」が設立され、若手ジャーナリストの支援が行われました。彼の権力に対する挑戦と、反差別を掲げた姿勢は、多くのメディアで反響を呼び続けています。加えて、彼の影響を受けた仲間たちが作成したミニコミ紙「新聞うずみ火」なども、今も活動を続けています。

彼の死後、古巣の読売新聞では彼の訃報が控えめに扱われましたが、スポーツ報知は他紙同様に大きく取り上げました。彼は生涯を通じて、ジャーナリズムの道を模索し続け、数多くの人々にインスピレーションを与えたことでしょう。

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