黒雲母

黒雲母について

黒雲母（くろうんも、英名: biotite）は、ケイ酸塩鉱物の一種で、特に火成岩の中に多く見られる鉱物です。黒雲母は、金雲母と鉄雲母との中間的な組成を持ち、一般に黒色をしています。これは、その名前の由来でもあります。

特徴

黒雲母の主な成分はK(Mg,Fe)3AlSi3O10(OH,F)2であり、鉱物としての特性は、一般的な雲母家族の鉱物と同じく、明確なへき開を持っています。このへき開により、黒雲母は薄いシート状に剥がすことができ、まるで薄い紙の束のように、一方向に沿って容易に分かれます。また、外見は六角形の結晶形状を持ち、特有の美しい光沢を見せます。

黒雲母は一般に火成岩、特に酸性の火成岩に多く含まれます。火成岩の中で見られる煌めく黒い斑点は、しばしば黒雲母または他の鉱物である角閃石によるものです。このため、黒雲母は岩石学や鉱物学において重要な役割を果たします。

名称の由来

英名の「Biotite」は、フランスの物理学者であり鉱物学者であるジャン＝バティスト・ビオ（Jean-Baptiste Biot）にちなんで名付けられました。彼が偏光の研究において重要な貢献をしたことを称え、1847年にハウスマンがこの名前を提案しました。ビオはまた、ビオ・フレスネルの法則の名付け親でもあり、物理学の分野でも高名な人物です。

日本語では、和田維四郎が「Biotite」を黒雲母や苦土雲母と訳したことが、明治の時代にさかのぼります。このように、黒雲母に関する文献は歴史的にもく充実しており、鉱物学の分野における研究が進められています。

関連項目

黒雲母は、鉱物界の一部であり、他の雲母に含まれる金雲母や鉄雲母との関連性も興味深いポイントです。さらに、鉱物の一覧や造岩鉱物の分類においても、黒雲母の特徴は重要な要素となります。様々な文献や資料が存在し、研究者によってその特性や用途が探求され続けています。

参考文献

• - M. Rieder et al., "Nomenclature of the micas", The Canadian Mineralogist, Vol. 36, pp. 41-48, 1998.
• - 松原聰　『フィールドベスト図鑑15 日本の鉱物』　学習研究社、2003。
• - 松原聰・宮脇律郎　『国立科学博物館叢書5 日本産鉱物型録』　東海大学出版会、2006。

黒雲母は、自然界における多様な岩石の一部として観察され、鉱物学の学びにつながる重要な対象です。

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