鼠径靭帯

鼠径靭帯

鼠径靭帯は、骨盤と下肢をつなぐ重要な構造物であり、上前腸骨棘から恥骨結節へと伸びる強靭な帯です。この靭帯は、鼠径部の基底部を形成し、鼠径ヘルニアなどの疾患にも関与することで知られています。

構造

鼠径靭帯は、外腹斜筋腱膜が変化したもので、大腿部の筋膜へと連続しています。起始部については議論がありますが、一般的には上前腸骨棘から恥骨結節へと走行するとされています。鼠径靭帯の深層には、以下の構造が含まれています。

大腰筋
腸骨筋
恥骨筋
大腿神経
大腿動脈
大腿静脈
外側大腿皮神経
リンパ節

機能

鼠径靭帯は、体幹と下肢をつなぐ役割を果たし、腹部の柔らかな組織を支えています。また、大腿三角の上縁を形成し、大腿神経が鼠径靭帯の中央部を通って下肢へと出て行きます。

歴史

鼠径靭帯は、「ポーパール靭帯」とも呼ばれています。これは、フランスの外科医であるフランソワ・ポーパールが、ヘルニア治療との関連でこの靭帯を「腹部のサスペンダー」と表現したことに由来します。また、「ファロピウス靭帯」と呼ばれることもあります。コリス靭帯は反射性の靭帯であり、鼠径靭帯とは異なるものです。

関連項目

骨盤

参考文献

Acland RD (January 2008). "The inguinal ligament and its lateral attachments: correcting an anatomical error". Clin Anat. 21 (1): 55–61. PMID 18092366. doi:10.1002/ca.20579.
Ryan, Jeffrey M.; Starkey, Chad (2002). Evaluation of orthopedic and athletic injuries. Philadelphia: F.A. Davis Co. ISBN 0-8036-0791-1.
synd/2633 at Who Named It?
* F. Poupart. Chirurgie complète. Paris, 1695.

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