骨盤

骨盤について

骨盤（こつばん、英語: pelvis）は、人体の中心部に位置し、大腿骨と脊柱の間で体を支える強固な骨のグループを指します。この骨の集合体は、成長と共に変化し、さまざまな機能を持つ複雑な解剖構造です。

構造

骨盤は、主に以下の骨から構成されています。

• - 寛骨（かんこつ）: 腸骨、坐骨、恥骨が17歳頃に一体化して1つの寛骨となります。
• - 仙骨（せんこつ）: 5つの仙椎が癒合して1つの仙骨を形成します。
• - 尾骨（びこつ）: 3〜6個の尾椎が部分的または全面的に癒合して尾骨になります。尾骨の個数は人によって異なります。

仙骨は脊柱の最下部の骨ではなく、実際には尾骨がその役割を果たします。また、坐骨、腸骨、恥骨が結合した部分は大腿骨と接し、ここが股関節を形成しています。この部分は「臼蓋（きゅうがい）」と呼ばれる構造を持ち、肩関節と同様に球関節の特性を持つため、動きが自由自在です。

臓器接続

骨盤は、特有の空間である骨盤腔によって囲まれています。この腔には、膀胱、子宮、直腸などの重要な臓器が存在しており、後腹膜がこれらの臓器を固定しています。後腹膜は腹腔の下端をカップ状に密閉していて、この部分はダグラス窩と称されます。この領域は、腹腔内出血や腹水が貯留することがよくあり、超音波エコー検査や穿刺手技の対象とされます。

臨床的意義

骨盤は法医学において、頭蓋骨と並ぶ男女差の顕著な部位です。骨盤が残っている場合は、性別を鑑定するための情報源となります。具体的には、骨盤中央の孔は男性では三角形に近く、女性では丸い形状をしており、これは出産時に胎児が通過できるように進化した結果です。

骨髄移植

腸骨や坐骨の骨髄は、成人においても造血の役割を果たしており、骨髄移植に際してはこれらの骨から骨髄液を採取することが重要です。

骨盤骨折

骨盤は、交通事故や転落事故による重傷の原因となることがあり、特に総腸骨動脈や内腸骨動脈の近くでの骨折は致命的な腹腔内出血を引き起こす恐れがあります。このため、医療従事者は骨盤の動揺や圧痛を確認し、必要に応じて骨盤固定処置を施すことが求められます。

骨盤開閉

女性の場合、初潮の約1年前までは恥骨結合が前傾して女児型を形成しますが、初潮を経て胎児を通すために直立傾向（女性成人型）となります。このため、若年出産やそれを経験した経産婦は相対的に安産であることが多いとされています。また、仙腸関節はカイロプラクティックにおいて可動性が高い場合があるとされています。

結論

このように骨盤は、骨格系の中で非常に重要な役割を果たし、解剖学的な特徴や臨床的な意義を持っています。骨盤の健康を保つことは、身体全体の機能や健康を維持する上でも欠かせない要素です。

もう一度検索