齋藤與一郎

齋藤與一郎について

齋藤與一郎（さいとう よいちろう、1873年10月26日 - 1961年1月5日）は、日本の医師として特に知られ、北海道函館市の市長を務めた。彼は「非魚」という号を持ち、医師としての活動だけでなく、地域社会における教育や医療の発展にも尽力しました。

経歴

齋藤の出生地は新潟県西頸城郡東早川村（現在の糸魚川市）であり、彼は齋藤國次郎の長男として育ちました。彼の人生の大きな転機は1885年に函館に移住し、ここで教育を受けることでした。1899年、彼は医術開業免許を取得し、函館病院の嘱託医師や函館伝染病院の医長としての職務に従事しました。

1906年にドイツに留学し、ゲッティンゲン大学やヴュルツブルク大学で衛生学を学ぶ経験が彼の医師としての知識を深め、1912年に帰国して函館区医に任命されました。その後も、函館伝染病院の医長や函館精神病院の医長として、地域の健康と医療に貢献しました。

1925年からは函館療養所の所長や柏野病院長（のちの柏木病院）を務め、さらには中の橋病院長、また函館水質試験所長としても活動しました。彼の役割は医療だけにとどまらず、1920年には函館教育会の会長に就任し、1929年からは函館私立商工実修学校（現在の函館市立商工青年学校）の校長を務めました。

市長としての貢献

1928年から1938年にかけて彼の業績が顕著となりました。1938年5月、彼は函館市長に選出されて任期をスタートさせ、1942年5月27日までその職にありました。在任中は戦時下にあっても市民の生活と医療体制を維持するために多大な努力を払いました。彼のリーダーシップは、市民からの信頼を集めました。

戦後の活動

しかし、戦後、日本の政治が変わる中で、齋藤は「翼賛道支部長」として公職追放となりました。その後も彼は地域社会に関与し、函館厚生院の理事長や函館商科短期大学の学長といった重要な職につき、教育や医療の発展に貢献しました。1954年には北海道文化賞を受賞し、1957年には函館市の名誉市民となりました。

著作

齋藤は後年、郷土に関する知識を広めるために著作も行っています。特に『非魚放談』（幻洋社、1988年）は、NHK函館放送局で放送された同名番組の内容をもとにしたもので、彼の郷土に対する思いや医療への情熱が込められています。

まとめ

齋藤與一郎は、日本の医療や地域社会の発展に寄与した優れた医師であり教育者でした。その生涯を通じて、多くの人々に影響を与え続けた彼の業績は、今も地域で語り継がれています。彼の貢献は、医療史や地域史において重要な位置を占めており、彼自身の活動を振り返ることは、地域の成り立ちを知る上でも意義あることです。

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