龍泉寺 (下呂市)

龍泉寺（りゅうせんじ）

岐阜県下呂市萩原町上呂にある龍泉寺は、閑水山と号する臨済宗妙心寺派の寺院です。本尊は聖観世音菩薩で、益田西国三十三観音霊場の30番札所となっています。

歴史

龍泉寺の創建は永徳年間まで遡ります。当初は、宮田村の奥田氏が檀越となり、毘沙門天を本尊とする数珠輪山毘沙門寺として、寺洞山寺屋敷に建立されました。しかし、その後寺運は傾き衰退しました。天文年間に入り、益田郡を支配した三木良頼が、禅昌寺の三世住職である仁谷智腆を中興開山として迎え、寺を再興しました。この時、本尊を聖観世音菩薩に改め、現在地に移転しました。

しかし、三木氏の没落とともに、龍泉寺は再び衰退しました。その後、禅昌寺六世の玉雲宗麟が再度の復興に尽力し、現在に至ります。

文化財

龍泉寺には、歴史と文化を伝える貴重な文化財が数多く残されています。かつての毘沙門寺の本尊であった毘沙門天像は、運慶の作と伝えられており、吉祥天像、善財童子像とともに今も大切に祀られています。これらの像は、毘沙門寺時代から伝わるものです。

また、平安時代末期の作と推定される地蔵菩薩像や、僧形八幡菩薩像も奉祭されています。特に、僧形八幡菩薩像は境内の八相堂に安置されており、益田三十三観音霊場の本尊として信仰を集めています。八相堂という名前は、もともと八相の地にあった建物を移築したことに由来します。


龍泉寺は、その長い歴史の中で、多くの人々の信仰と支えによって守られてきました。静かで落ち着いた境内は、訪れる人々に安らぎを与えています。歴史を感じさせる文化財は、訪れる人々に深い感動を与え、歴史の重みを伝えてくれます。

参考資料

岐阜県益田郡　『岐阜県益田郡誌』 p668-669　1937年
萩原町　『萩原町誌』 p1063-1068　1963年

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