（本）噂のストリッパー

映画『噂のストリッパー』の魅力と背景

1982年に公開された映画『噂のストリッパー』は、日本映画の中で特異な位置を持つ日活ロマンポルノの作品です。監督・脚本を担当したのは、若き日の森田芳光。これは日活ロマンポルノとして彼が初めて手がけた作品であり、彼のキャリアにおける重要な一歩となりました。映画は、舞台となるストリップ劇場の雰囲気や、登場人物たちの複雑な人間関係を描き出すことで、多くの観客を魅了しました。

あらすじ

本作の物語は、場末のストリップ劇場で踊る踊り子グロリアと彼女に恋をする青年洋一の視点から進行します。洋一は、グロリアに一目惚れし、その後彼女が別の劇場に移ってしまったことも知らずに彼女を思い続けています。悶々とした日々を過ごしていた洋一の前に、グロリアと肉体関係にあった照一が現れます。照一に導かれ、洋一はグロリアの新たな出演劇場を訪れることになります。そこで彼は、グロリアが金欲しさから「まな板ショー」を行っていることを知り、衝撃を受けます。しかし、同時に洋一はそのショーの魅力にも引き込まれていくのです。

キャスト

映画には、岡本かおりがグロリア役で出演しており、彼女の魅力は観客に強い印象を与えました。洋一役には宮脇康之が抜擢され、好子役には太田あや子、照一役には上野淳がキャスティングされました。多くの脇役たちも個性的な演技を披露し、ストリップ劇場の様々な側面を描き出しました。

撮影背景

本作は千葉県浦安市に存在した「浦安劇場」で撮影され、その街並みや実際の劇場の雰囲気が映画に色を添えています。特に、岡本扮するグロリアが浦安の街を歩くシーンは、当時のリアルな風景を映し出しています。

宮脇康之のキャリア

宮脇康之にとって本作は、芸能界から事実上干されていた時期の起死回生の作品でありました。しかし、後に彼はこの作品が自らの評判を下げる要因となったと発言しており、その後のキャリアにも影響を与えたことが伺えます。

岡本かおりのデビュー作

さらに、岡本かおりにとってはこの映画が正式デビュー作であり、以降も多くのロマンポルノ作品に出演します。彼女はその後、一般作品にも進出しましたが、ロマンポルノの履歴をプロフィールから消しており、現在では森田監督の別作品『家族ゲーム』をデビュー作として紹介しています。

映画の位置付け

本作における森田芳光の役割は、彼のキャリアにおいて重要であるのと同時に、日活ロマンポルノ全体においても画期的な意味を持っていました。映画産業として、ロマンポルノは性的表現を含む一方で、ストーリー性やキャラクター開発も重視される作品が多く、本作もその一例といえます。森田は当初、この映画を自身の『の・ようなもの』に次ぐ作品と位置づけていましたが、プロデューサーの意向によって第3作目として制作されました。

まとめ

『噂のストリッパー』は、ストリップ劇場という独特の舞台設定と、登場人物たちの愛憎劇を通じて、観客に深い印象を与える作品です。森田芳光のデビュー作としても知られる本作は、日本映画の中でも特異な存在感を放っており、今尚多くの人々に語り継がれています。

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