-どこでもいっしょ- 私なえほん

-どこでもいっしょ- 私なえほん

『-どこでもいっしょ- 私なえほん』（わたしなえほん）は、ソニー・コンピュータエンタテインメントより2003年4月24日にPlayStation 2用ソフトウェアとして発売されたインタラクティブ絵本作成ゲームです。その後、2015年3月18日からはPlayStation 2アーカイブスとして配信が開始され、より手軽に楽しめるようになりました。

ゲーム内容

本作の最大の特徴は、プレイヤー自身が物語の共同制作者となる点にあります。ゲームは一冊の絵本を読む形式で進行しますが、単に読み進めるだけでなく、物語の途中でプレイヤーが介入し、絵本の挿絵となるビジュアル要素や、物語の展開を左右する「言葉」を入力していきます。こうして紡ぎ出されるのは、『どこでもいっしょ』シリーズでお馴染みの個性豊かなキャラクター、ポケピたち（トロ、ジュン、ピエール、リッキー、スズキ）が主人公となる、プレイヤーオリジナルの絵本です。シリーズ作品である『トロと休日』と同様に、ゲーム内には現実世界の風景を写した実写背景も登場し、物語に独特の奥行きを与えています。

特色あるシステム

本作には、プレイヤーの創造性を刺激し、より豊かな体験を提供する様々なシステムが盛り込まれています。

まず、過去に発売されたシリーズ作品『トロと休日』でプレイヤーがポケピたちに教えた「コトバ」を、本作へ引き継がせることが可能です。これにより、長年シリーズをプレイしているユーザーは、慣れ親しんだ言葉を使って新たな絵本の世界を構築することができます。

また、ゲームの舞台となる世界では、特定の条件下でしか読めない特別な絵本が存在します。PlayStation 2本体に設定されている日付に応じて、何かの記念日や特定の月にのみアクセス可能になる本や、特定のパスワードを入力することで読めるようになる隠された本などが用意されています。これらの特別な本は、基本的にプレイヤーによる「コトバ」や挿絵の挿入ができない場合が多いですが（一部例外あり）、通常の絵本とは異なる、あらかじめ用意された物語を楽しむことができます。

視覚的な表現においても、本作はシリーズの他の作品とは一線を画しています。これまでのシリーズでポケピたちは3D化された等身大のモデルとして描かれることが多かったのに対し、絵本というテーマに合わせて、本作ではポケピたちが柔らかなタッチのパステル調イラストとして描かれています。この優しいビジュアルは、絵本の世界観に見事に溶け込んでいます。

ゲームの導入部分であり、プレイヤーが絵本を選んだりする舞台となる絵本屋のシーンは、全て高品質なムービーで表現されています。この絵本屋の店主役として、タレントの藤村俊二氏が出演しており、彼の独特の語り口がゲームの雰囲気を一層盛り上げています。ゲームを進めていくと、藤村俊二氏が演じる店主が登場する特別な絵本を読むことも可能になり、ゲームの世界への没入感を深めます。

『-どこでもいっしょ- 私なえほん』は、プレイヤーが積極的に物語に関わることで、自分だけの特別な一冊を作り上げる喜びを提供する、シリーズの中でも特に創造性に焦点を当てたユニークな作品と言えるでしょう。

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