007 サンダーボール作戦

『007 サンダーボール作戦』

『007 サンダーボール作戦』（Thunderball）は、イアン・フレミングが手がけた「ジェームズ・ボンド」シリーズの第8作品目であり、長編小説としては9冊目にあたります。1961年にジョナサン・ケープから出版されたこの作品は、フレミング自身が初めてかつ最後にノベライゼーションを行ったものです。日本版は1962年に早川書房から井上一夫による翻訳でリリースされ、ハヤカワ・ポケット・ミステリシリーズに収められました。

この小説は、フレミングの友人で映画作家でもあるケヴィン・マクローリーやジャック・ウィッティンガムと共同で創案されました。特にウィッティンガムが執筆した映画の脚本をフレミングが無断で小説化したため、共同執筆者たちは法律的措置を講じることになりました。この結果、オリジナルの著者名に彼らの名前も加えられることになります。これが他のフレミング作品と異なる点となり、日本における著作権保護期間も2077年まで延長されることになりました。これは、フレミングの他作品が2015年に著作権が終了したのに対し、マクローリーの没年が2006年であるためです。

物語が執筆された背景には、フレミングがボンド映画の自主制作に興味を持ち、新進気鋭の映画制作会社ザナドゥ・プロダクションを設立したことがあります。ここでは、海洋冒険に重きを置くことが決まりました。マクローリーは、過去の作品が映画化に適さないと判断し、規模の大きな組織スペクターを敵に定めることを提案しました。こうして、スペクターとそのリーダー、ブロフェルドが誕生します。

一方、フレミングがその後プロジェクトを一方的に撤回してさまざまな問題が続きました。出版直前になってマクローリーが出版の差し止めを要求するが、聞き入れられることなく、作品は発行され続けました。

物語は、イギリス空軍機の消息が不明になるところから始まります。この飛行機は、MOS型核弾頭を2基搭載しており、NATOの訓練の最中に姿を消しました。これにより、謎の犯罪組織スペクターが金塊を要求してきます。イギリスの秘密情報部員ジェームズ・ボンドは、この事態を受けてバハマに派遣されます。バハマでは、スペクターのエミリオ・ラルゴが海底に沈めた空軍機から原爆を取り戻そうと企てている中、ボンドはCIAやアメリカ海軍原子力潜水艦のメンタ号の助けを借りて、ラルゴに立ち向かいます。

本作は、イアン・フレミングの魅力的な作品の一つであり、映画化もされるなど、シリーズの中で重要な位置を占めています。特に、ボンドのキャラクターがどのように成長し、冒険を通じてどんな困難に立ち向かうのかを描いた魅力的なストーリーとなっています。

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