007 ダイヤモンドは永遠に

『007 ダイヤモンドは永遠に』

『007 ダイヤモンドは永遠に』（原題：Diamonds Are Forever）は、イアン・フレミングによる1956年の長編小説で、彼の代表作である「ジェームズ・ボンド」シリーズの第4作目にあたります。この作品は、イギリス秘密情報部のエージェント007、つまりジェームズ・ボンドが中心に描かれており、ダイヤモンド密輸を巡る緊迫したストーリーが繰り広げられます。

ストーリーの概要

物語は、ボンドが上司であるMから特命を受けるところから始まります。彼の任務はダイヤモンド密輸ルートを解明することであり、ボンドは運び屋であるピーター・フランクスに身を成り代えて行動を開始します。フランクスに成りすましたボンドは、監視役の女性ティファニー・ケイスと共にニューヨークへ向かい、そこでCIAを退職し現地のピンカートン探偵社に勤務している旧友のフェリックス・ライターと再会します。

ボンドとライターは、密輸を手掛けているアメリカのギャング組織スパングルド組の調査を進めます。彼らはラスベガスへと足を運び、組織が背後にいる謎の首領ABCの正体に迫ります。この調査の中で、ボンドは密輸の全貌をつかみ、関わる人々との奇妙な人間関係が描かれます。特にティファニーは、最初はボンドを監視する立場にありましたが、徐々に彼の仲間となっていく様子が印象的です。

物語のクライマックスでは、ボンドはティファニーと共にクイーン・エリザベス号でアメリカを脱出します。その船上で、組織の殺し屋ウィントとキッドと対峙し、見事に返り討ちにする場面は一際緊迫した描写となっています。最終的にはフランス領ギニアでの決戦を経て、ボンドはABCを葬ることに成功し、ダイヤモンド密輸ルートを完全に壊滅させます。

出版情報

この作品は、1956年にジョナサン・ケープから出版され、後にさまざまな版で再出版されています。日本では、1980年に井上一夫による訳が東京創元社の創元推理文庫から刊行されました。また、2004年にはペンギン・クラシックスからも英語版が発行されるなど、今なお多くの読者に親しまれています。

『007 ダイヤモンドは永遠に』は、スリリングな冒険と複雑な人間関係、さらに洗練されたプロットが見事に融合した名作であり、イアン・フレミングの豊かな想像力が詰まった作品として今後もその評価は揺るぎないでしょう。

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