007/ユア・アイズ・オンリー

映画『007/ユア・アイズ・オンリー』

『007/ユア・アイズ・オンリー』（原題: For Your Eyes Only）は、1981年に公開されたスパイアクション映画で、ジョン・グレンが監督を務めた007シリーズの第12作目です。この作品は、よりスタントシーンを強調したアクションムービーへと変革し、後のハリウッドアクション映画にも影響を与えることとなりました。

映画の概要

本作では、オープニングから印象的なヘリコプターのスタントや、カーチェイス、スキーアクション、銃撃戦、水中での戦闘、そしてロック・クライミングといった多彩なアクションシーンが展開されます。前作『ムーンレイカー』のSF的な要素から一転し、原点に戻る形でリアルなアクションを追求しています。

ストーリー

物語は、アルバニア沖の地中海で、英国のスパイ船「セント・ジョージ」が謎の機雷によって沈没するところから始まります。この船には、英国軍のミサイルを操作できるATAC装置が搭載されており、これを狙うのはソ連です。ソ連はギリシャの組織に指示し、ATACの回収を企てます。

一方、ボンド（ロジャー・ムーア）は休暇中ですが、ハブロック博士が殺害されたことを受けて調査を開始します。彼はゴンザレス（ステファン・カリパー）を追跡するためにスペインへ向かいますが、彼も捕えられてしまいます。そこで彼は、逃げる中で博士の娘メリナ（キャロル・ブーケ）と出会い、共に逃亡することになります。メリナは両親を殺したゴンザレスへの復讐を果たそうとしている人物でした。

混乱の中で政府は手がかりを失いますが、ボンドはゴンザレスの殺害に関連する人物の存在を突き止めるため、調査を続けます。ここから、ボンドは迷宮のような謎に挑むことになり、途中で複雑な人間関係にも巻き込まれていきます。

キャストと制作

本作のキャストには、ボンド役のロジャー・ムーアを始め、多くの個性的なキャラクターが登場します。主なキャストには、アリスト・クリスタトス役を演じるジュリアン・グローヴァーや、ミロス・コロンボ役のハイアム・トポル、そしてメリナ役のキャロル・ブーケが含まれます。特にキャロル・ブーケは、知的な雰囲気を持ちながらも美しさを兼ね備えたボンドガールとして高い評価を受けました。

制作においては、監督ジョン・グレンのもと、脚本や音楽、特殊効果などが緻密に計画され、各シーンのクオリティを高めることに成功しました。主題歌はシーナ・イーストンが担当し、オープニングタイトルにも本人が登場しています。このことはシリーズにおいても特筆すべき珍しい措置で、音楽の成功を裏付けています。

興行成績

公開初日には前作よりも観客動員が増加し、全世界での興行収入は約2億ドルに達しました。日本でも高い興行成績を記録し、特に多くの観客を動員したことが効果を生み出しました。1981年の映画興行成績で、他の大作に次ぐ第2位の座を獲得しました。

制作エピソード

制作中、M役のバーナード・リーが亡くなったため、彼を敬う意味でも今作ではMは登場せず、国防大臣がその役目を引き受けました。また、ボンドガールの役がどのようにキャスティングされたかというエピソードなども、多くのファンの興味を引きました。同時に、撮影中にはさまざまなトラブルもあったとされていますが、作品としてはその分、深い魅力を放つものとなっています。

『007/ユア・アイズ・オンリー』は、スパイ映画の金字塔とも言える作品であり、無数のファンを魅了し続けることでしょう。

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